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ネタバレ注意
この記事には『キングダム』本編の展開と、単行本69巻までの結末が含まれます。連載の進行状況は2026年8月時点のものです。

『キングダム』において、秦国の武の象徴として語られ続けてきたのが「六大将軍」です。昭王の時代に置かれた旧六大将軍と、政(後の始皇帝)が復活させた新六大将軍。この二つの世代を混同したまま読んでいる人は少なくありません。

この記事では、旧六大将軍6人と新六大将軍5人を一人ずつ整理し、確認できている最期をまとめます。あわせて「六大将軍という制度は史実に存在したのか」という、この作品でもっとも誤解されやすい点も検証します。結論を先に言えば、制度そのものは創作ですが、選ばれた人物の多くは実在します。

結論

  • 旧六大将軍は白起・王騎・摎・王齕・胡傷・司馬錯の6人です。作中で死亡シーンが正面から描かれたのは王騎(単行本16巻・第172話「継承」)だけで、他の5人は物語開始時点ですでに故人です。
  • 新六大将軍は蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎の5人。単行本62巻・第671話「任命の儀」で任命され、六人目は空席のまま始まりました。
  • 「六大将軍」という制度は史実には存在しません。ただし白起・王齕・司馬錯・胡傷・摎は実在の秦の将軍で、王騎も『史記』の王齮がモデルとされています。実在の人物を、創作の制度でひとまとめにしたものです。

六大将軍とは何か

中国の長城と城楼のイメージ
秦は数世代をかけて中華の版図を広げていきました(画像はイメージです)

六大将軍とは、秦の昭王が設けた特別な地位です。将軍のさらに上位である「大将軍」の中から6人が選ばれ、王の許可を得ずに戦を起こしたり退いたりできる「戦争の自由」を与えられていた、と作中では説明されます。

名前を聞くだけで敵国の将が震え上がったとされ、秦の領土拡大はこの6人によって進みました。しかし昭王の死とともに制度は失われ、以後の秦は大将軍を欠いた状態が長く続きます。物語序盤で信が「大将軍になる」と口にするときの重みは、この空白が前提になっています。

制度名 六大将軍
創設者 秦の昭王
人数 6人
特権 王の許可なく戦争を行える「戦争の自由」
旧六大将軍 白起、王騎、摎、王齕、胡傷、司馬錯
新六大将軍 蒙武、騰、王翦、楊端和、桓騎(1席は当初から空席)
復活した巻・話 単行本62巻・第671話「任命の儀」
史実の制度 存在しない(作品オリジナル)

旧六大将軍の一覧と最期

旧六大将軍は、物語の開始時点ですでに解体されています。作中で生きて登場するのは王騎ただ一人で、残る5人は回想と伝聞の中に現れます。

名前 作中での状況 実在/創作
白起(はくき) 物語開始時点で故人。長平で趙兵40万を生き埋めにしたと語られる 実在
王騎(おうき) 16巻・第172話で死亡。馬陽の戦いで龐煖に致命傷を受ける 実在の王齮がモデル
摎(きょう) 16巻で最期が描かれる。馬陽攻略の前夜、龐煖に敗れる 実在(作中の女性設定は創作)
王齕(おうこつ) 物語開始時点で故人。作中で死因は明示されていない 実在
胡傷(こしょう) 物語開始時点で故人。趙奢の奇策に敗れたと語られる 実在(胡陽・胡昜)
司馬錯(しばさく) 作中での描写がきわめて少なく、最期は不明 実在

白起

六将の中でも別格として語られる将軍です。長平の戦いで趙軍を降伏させたのち、捕虜となった40万の兵を生き埋めにしたという逸話が作中でも触れられます。信や政の世代から見れば完全に過去の人物であり、その残虐さと戦果の大きさが伝説として残っている、という位置づけです。

王騎

読者にとって六大将軍そのものを体現する人物です。信と漂の物語に早くから関わり、馬陽の戦いで趙軍と戦い、龐煖の奇襲によって深手を負います。死亡が描かれたのは単行本16巻・第172話「継承」で、その矛は信へと託されました。詳しくは王騎の史実を検証した記事で掘り下げています。

六大将軍で唯一の女性として描かれる人物です。100の城を落としたら王騎と結婚するという約束を交わし、その100個目にあたる馬陽へ攻め込む前夜、武神を名乗る龐煖と一騎打ちになって致命傷を負います。初登場は11巻、15巻で再び描かれ、16巻で最期に至ります。王騎と龐煖の因縁は、ここから始まりました。

王齕

作中では物語の開始時点ですでに故人で、死因は明らかにされていません。名前と六将であった事実が語られるにとどまります。

胡傷

知略型の将として言及される人物です。趙の趙奢の奇策によって敗れたことが作中で触れられており、六将にも敗北があったことを示す例になっています。

司馬錯

六大将軍の中でもっとも情報が少ない人物です。作中での本格的な登場や最期の描写は確認できません。ただし史実側では、後述するとおりはっきりした功績が残っています。

新六大将軍の一覧と現在

時は流れ、政は六大将軍制度の復活を宣言します。単行本62巻・第671話「任命の儀」で名が挙がったのは5人でした。政自身が「五人に比肩する者が見当たらなかった」と述べており、六人目は空席のまま制度が動き出します。

名前 現在の状況 実在/創作
蒙武(もうぶ) 2026年8月時点で存命。函谷関で楚将・汗明を討った実績を持つ 実在
騰(とう) 存命。かつて王騎の副官を務めた 実在(内史騰)
王翦(おうせん) 存命。趙攻略の中心を担う 実在
楊端和(ようたんわ) 存命。山の民を率いる 実在(史実では男性)
桓騎(かんき) 69巻・第752話から第753話にかけて死亡。李牧に敗れる 実在の桓齮がモデル
六人目 空席 該当なし

なお5人の間に第一将から第五将といった明確な序列があるかについては、紹介するメディアによって説明が分かれます。確定した情報として扱えないため、本記事では順位付けは行いません。

蒙武

秦の武の象徴として描かれる人物です。合従軍との戦いにおいて楚の汗明を一騎打ちで討ち取り、単純な武力で言えば作中最上位に位置づけられます。

王騎の副官から自らの軍を率いる将へ。飄々とした振る舞いの裏に冷静な判断力を持ち、王騎軍の遺産をそのまま受け継いだ存在です。

王翦

読み合いで戦局を決める将軍です。趙攻めの主軸を担い、李牧との対決の中心にいます。詳しくは王翦の生死をまとめた記事を参照してください。

楊端和

山界の死王と呼ばれる山の民の王でありながら、秦の将として六大将軍に名を連ねる異色の存在です。楊端和の生死と史実も別記事で扱っています。

桓騎

新六大将軍で唯一、すでに命を落とした人物です。趙国深部での戦いで李牧の策にはまり、包囲される中で最期を迎えます。桓騎の最期の詳細は別記事にまとめました。

六大将軍の死亡順

「死亡順」を知りたい読者は多いのですが、旧六将については作中で正確な時系列が示されていません。確認できる範囲を整理すると次のようになります。

区分 確認できる内容
旧六将のうち白起・王齕・胡傷・司馬錯 物語開始時点ですでに故人。相互の前後関係は作中では明示されない
馬陽攻略の前夜に龐煖に敗れる。王騎の死より前の出来事
王騎 旧六将で最後に描かれた死。16巻・第172話
新六将のうち桓騎 新六将で唯一の戦死。69巻・第752話から第753話
蒙武・騰・王翦・楊端和 2026年8月時点で存命

つまり、はっきり順番が言えるのは「摎→王騎」と「新六将では桓騎が最初で今のところ唯一」という二点だけです。それ以外を順位付けしているものは推測であり、原作の記述ではありません。

六大将軍の強さランキングは決められるのか

強さの序列も検索需要の高いテーマですが、作中に公式の順位表は存在しません。判断材料になるのは、それぞれが残した戦果と、他の人物が語る評価です。

旧六将では白起が別格として扱われ、王騎はその白起と並んで語られます。新六将では、蒙武が純粋な武、王翦が知略、騰が総合力、楊端和が機動力、桓騎が読めない戦い方と、比較の軸そのものが人によって違います。単一の物差しで並べられないよう設計されているとも言えます。

この記事では順位を断定せず、それぞれが何で評価されたのかを示すにとどめます。数字で並べられた表を見かけたときは、それが原作の記述ではなく読み手の解釈であることを意識しておくと安全です。

史実では? 六大将軍という制度は存在しない

ここが本題です。『史記』をはじめとする史料に「六大将軍」という制度は記録されていません。王の許可なく戦争を起こせる権限を将軍に与えるという仕組みも、中央集権を進めていた当時の秦の在り方からは考えにくいものです。六大将軍は、原泰久氏が物語のために作り上げた枠組みだと考えるのが妥当です。

ただし、そこに入れられた人物は違います。6人のうち5人は史書に名前が残る実在の将軍であり、残る王騎にもモデルがいます。

人物 史実での記録
白起 実在。紀元前260年の長平の戦いで趙軍を大破。のちに昭襄王から剣を賜り、紀元前257年ごろ自害したとされる
王齕 実在。長平の戦いで白起の副将を務め、邯鄲攻めにも参加。紀元前247年に韓の上党を攻め、太原郡を設置した
司馬錯 実在。恵文王・武王・昭襄王の三代に仕え、紀元前316年に張儀らとともに蜀へ侵攻し、これを滅ぼした
胡傷 実在。胡陽・胡昜とも書かれる。紀元前273年の華陽の戦いで白起とともに趙魏連合軍を破り、紀元前269年の閼与の戦いで趙奢に大敗した
実在。紀元前256年に韓の陽城・負黍を落とし、趙でも大きな戦果を挙げ、西周を降した。最後の記録は紀元前254年ごろ
王騎 『史記』の王齮がモデルとされる。紀元前246年に蒙驁・麃公とともに将軍となり、紀元前244年に死去

史実の摎は周王朝を終わらせた将軍

作中では王騎の婚約者として描かれる摎ですが、史実では性別を示す記述が確認できません。そして残した戦果は非常に大きく、紀元前256年に西周を降し、およそ700年続いた周王朝の命脈を断つ役割を担ったと記録されています。作中の摎の華やかさは創作でも、歴史上の重みは本物です。

史実の白起は自国の王に死を命じられた

白起もまた、敵に討たれたわけではありません。長平での大勝の後、邯鄲攻めをめぐって昭襄王と対立し、最終的に剣を賜って自害しています。趙の李牧が味方の讒言で殺されたのと同じく、秦にも自軍の名将を失う出来事があったことになります。この構図は李牧の最期と読み比べると理解しやすくなります。

漫画と史実の違い

項目 『キングダム』 史実
六大将軍という制度 昭王が創設。6人に戦争の自由を与える 存在しない。創作された制度
新六大将軍 政が復活させ、62巻で5人を任命 存在しない
摎の性別 女性。王騎の婚約者 性別を示す記述は確認できない
王騎の最期 馬陽で龐煖の攻撃を受け戦死 王齮が紀元前244年に死去。死因の記録は乏しい
白起の最期 作中では詳細に描かれない 昭襄王から剣を賜り自害
胡傷の敗北 趙奢の奇策に敗れたと語られる 紀元前269年の閼与の戦いで趙奢に大敗
司馬錯の扱い ほぼ描写がない 蜀を滅ぼし、秦の国力拡大を支えた重要人物

なぜ六大将軍という枠組みが作られたのか

史実の秦には、白起も王齕も司馬錯も確かに存在しました。しかし彼らは同じ時期に横並びで活躍したわけではなく、司馬錯の蜀攻略は紀元前316年、摎の周攻略は紀元前256年と、60年もの開きがあります。

これをひとつの称号でまとめることで、読者は「秦にはかつて無敵の6人がいた」という共通の記憶を持てるようになります。そしてその席が空いているという設定が、信をはじめとする新世代に明確な目標を与えます。制度が失われていること自体が、物語を前へ進める装置になっているわけです。

新六大将軍で桓騎の席が空いたことも同じ構造です。埋まらない席がある限り、下の世代には登り続ける理由が残ります。史実にない制度をあえて置いた意味は、ここにあると考えられます。

六大将軍に関するよくある質問

旧六大将軍は誰ですか?

白起、王騎、摎、王齕、胡傷、司馬錯の6人です。秦の昭王によって選ばれ、王の許可なく戦争を行える特権を与えられていました。

新六大将軍は誰ですか?

蒙武、騰、王翦、楊端和、桓騎の5人です。単行本62巻・第671話「任命の儀」で任命され、六人目の席は当初から空席のままです。

六大将軍は史実に実在した制度ですか?

実在しません。『史記』などの史料に六大将軍という制度は記録されておらず、作品オリジナルの設定です。ただし選ばれた人物の多くは実在の秦の将軍です。

王騎が死亡したのは何巻何話ですか?

単行本16巻・第172話「継承」です。馬陽の戦いで龐煖の攻撃を受け、深手を負ったことが原因でした。

摎はどうやって死亡しましたか?

馬陽へ攻め込む前夜、武神を名乗る龐煖との一騎打ちで致命傷を負いました。最期は単行本16巻で描かれています。

桓騎が死亡したのは何巻何話ですか?

単行本69巻・第752話から第753話にかけてです。趙国深部での戦いで李牧の軍に包囲され、最期を迎えました。

新六大将軍で死亡しているのは誰ですか?

桓騎だけです。2026年8月時点で、蒙武、騰、王翦、楊端和の4人は存命です。

六人目の六大将軍は誰になりますか?

決まっていません。政が「五人に比肩する者が見当たらなかった」と述べたまま空席が続いており、原作でも明かされていないため断定できません。

六大将軍の強さランキングはありますか?

作中に公式の順位はありません。白起が別格として語られる場面はありますが、序列を数値で示した記述は存在しません。

司馬錯は史実でどんな人物でしたか?

秦の恵文王・武王・昭襄王の三代に仕えた将軍です。紀元前316年に張儀らとともに蜀へ侵攻して滅ぼし、秦の国力拡大を支えました。

まとめ

  • 旧六大将軍は白起・王騎・摎・王齕・胡傷・司馬錯の6人
  • 作中で死亡が正面から描かれた旧六将は王騎のみ。16巻・第172話
  • 新六大将軍は蒙武・騰・王翦・楊端和・桓騎の5人。62巻・第671話で任命
  • 新六将で死亡しているのは桓騎だけで、69巻・第752話から第753話
  • 六大将軍という制度は史実に存在しないが、選ばれた人物の多くは実在の将軍

実在した将軍たちを、実在しない称号でひとつに束ねる。この作り方があるからこそ、六大将軍という言葉は作中でも読者の間でも特別な響きを持ち続けています。空席がひとつ残っている限り、この称号の物語はまだ終わりません。

続きは単行本で

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この記事について

執筆・編集: マンガノシラベ編集部
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