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ネタバレ注意
この記事には『キングダム』合従軍編(30巻から33巻)の結末に関する記述が含まれます。未読の方はご注意ください。

『キングダム』で秦が最も滅亡に近づいたのが蕞(さい)の戦いです。守るべき兵がおらず、王が自ら城に入り、住民が武器を取りました。

この記事では、蕞の戦いが何巻何話なのか、なぜ王が前線に立つことになったのか、そしてどう凌ぎ切ったのかを整理します。この戦いは、政という王の描かれ方が最もはっきり出た場面でもあります。

結論

  • 蕞の戦いは単行本30巻・第320話から33巻・第352話にかけてです。合従軍編の終盤にあたります。
  • 李牧が函谷関を迂回し、咸陽の手前にある蕞を突きました。本命は函谷関ではありません。
  • 蕞にはまともな兵がおらず、住民が武器を取りました。政が自ら城に入って呼びかけています。
  • 七日間持ちこたえ、楊端和の援軍で決着しました。李牧が攻略不能と判断して撤退します。

蕞の戦いとは

夕暮れの城壁と旗
蕞は咸陽の手前にある小城でした(画像はイメージです)
収録 単行本30巻・第320話から33巻・第352話
位置づけ 合従軍編の終盤
攻める側 李牧率いる合従軍の別動隊
守る側 秦王・嬴政と蕞の住民。信ら少数の兵
期間 七日間
結果 秦が守り切る。楊端和の援軍到着により李牧が撤退

李牧の狙いは函谷関ではなかった

合従軍編の戦いは二段構えでした。

合従軍は5カ国が集まり、函谷関を正面から攻めます。秦側は蒙驁・張唐・桓騎らが守り、激しい攻防が続きました。魏の呉鳳明が井闌車を投入したのもこの局面です。

ところが、李牧の本命は函谷関ではありませんでした。関で秦の主力を釘付けにしておいて、自身は別動隊を率いて山を越え、手薄になった内側へ回り込みます。

戦場 役割
函谷関 秦の主力を引きつける。落とせなくてもよい
本命。ここを抜けば咸陽まで遮るものがない

蕞は咸陽の手前にある小城です。ここが落ちれば、首都が直接攻められます。しかも主力は全員が函谷関にいました。

兵がいなかった

蕞には、まともな守備兵がいませんでした。

秦の兵力は函谷関に集中しており、内側の城まで手が回っていません。李牧はその状況を計算したうえで進路を選んでいます。

ここで秦王・嬴政が動きました。王自ら蕞へ入り、住民に向かって武器を取るよう呼びかけます。王宮を出て前線に立つという判断です。

集まったのは老人や女性を含む一般の住民でした。訓練を受けていない人々が、趙軍の精鋭を相手に城壁を守ることになります。

政の呼びかけ

政は住民に対し、この戦いが自分の戦いではなく、そこに住む人々自身の戦いであるという趣旨のことを語りました。

戦国時代の王が民に直接語りかけるという状況自体が異例です。作中でも、王が城壁の上に立つことに周囲は反対しています。

ここで示された姿勢が、以後の政という人物の描かれ方の軸になりました。中華統一という目標が、王個人の野心ではなく、そこで暮らす人々の生存と結びつく形で語られます。

七日間の防衛

段階 内容
初日 趙軍の攻撃が始まる。住民は城壁で応戦する
中盤 死傷者が続出し、戦える人数が減っていく
終盤 城壁が破られかけ、陥落寸前になる
決着 楊端和率いる山の民が到着。李牧が撤退を決断する

七日間というのは、援軍が到着するまでの時間です。函谷関から戻る主力も、山の民も、間に合うかどうかの瀬戸際でした。

信もこの戦いに加わっています。飛信隊として少数の兵を率い、住民とともに城を守りました。

山の民の援軍

決着をつけたのが楊端和です。

蕞が落ちる直前、山の民の軍が到着しました。これを見た李牧は、蕞の攻略は不可能と判断し、全軍に撤退を命じます。

この援軍は、序盤の王都奪還編で結ばれた同盟の結果です。政が単身で山の民のもとへ赴き、武力ではなく交渉で同盟を成立させました。その関係が、国の存亡がかかった場面で効いています。

合従軍という状況の重さ

蕞の危機を理解するには、合従軍がどういう規模の事態だったかを押さえる必要があります。

合従軍とは、複数の国が連合して秦ひとつを攻める体制です。このときは趙・楚・魏・韓・燕の5カ国が集まりました。総兵力は数十万に及びます。

担当
李牧 全体の指揮。別動隊を率いて蕞へ向かう
呉鳳明 函谷関の正面。井闌車を投入する
汗明 函谷関を攻める
オルド 函谷関を攻める
成恢 毒を用いた兵器を持ち込む

秦は単独でこれを受け止めています。同盟国はなく、援軍を期待できる相手もいません。函谷関が抜かれれば、そのまま国が終わる状況でした。

その状態で、李牧はさらに別動隊を割いています。函谷関に主力を張り付けたまま、内側を突くという二正面の運用です。守る側からすれば、どちらか一方でも破られたら終わりでした。

信と飛信隊はどこにいたか

蕞の防衛戦には、信と飛信隊も加わっています。

このとき信は千人将でした。数千の兵を率いる立場ではなく、蕞に入った兵力はごく限られています。正規の軍としてではなく、住民とともに城壁を守る側に回りました。

信にとって、住民が武器を取る光景は無縁のものではありません。もともと城戸村の下僕であり、身分としては蕞の住民と変わらない出自です。

王が城壁に立ち、下僕上がりの千人将が隣で戦い、住民が武器を取る。身分の違う人間が同じ場所で同じ城を守るという構図が、この戦いの見どころになっています。

史実では? 蕞の防衛戦の記録はない

作中で描かれる蕞の防衛戦にあたる記録は、史料に確認できません。王が自ら城に入り、住民が七日間守り切ったという記述はありません。

ただし合従軍そのものは実在します。紀元前241年、趙・楚・魏・韓・燕が連合して秦を攻めました。これが史実で最後の合従軍にあたります。

項目 『キングダム』 史実
合従軍 5カ国が秦を攻める 実在。紀元前241年、5カ国が連合した
蕞の防衛戦 政が出陣し住民が七日間耐える 該当する記録は確認できない
李牧の指揮 合従軍全体を統括する 合従軍を李牧が率いたという記録はない
山の民の援軍 楊端和が到着して決着 山の民という勢力の記録がない

史実の合従軍は、函谷関を攻めたものの成果を上げられず撤退しました。これ以降、各国が連合して秦を攻めることはなくなります。

この戦いのあと何が変わったか

合従軍を退けたことで、秦の立場は大きく変わりました。

項目 合従軍の前 合従軍の後
他国の姿勢 連合すれば秦を潰せると考えていた 5カ国でも落とせないと分かった
秦の内政 呂不韋の影響力が強い 政の求心力が増し、親政へ向かう
信の立場 千人将 戦後の論功行賞で三千人将へ昇進する

史実でも、紀元前241年の合従軍が最後の連合になりました。これ以降、各国がまとまって秦を攻めることはありません。その後は一国ずつ順に滅ぼされていきます。

作中でも同じ構図です。5カ国が集まっても落とせなかったという事実が、以後の展開の前提になりました。

アニメでは第何シリーズか

この戦役は、アニメでは第3シリーズにあたります。

主な巻 31巻
アニメ 第3シリーズ
そのシリーズの内容 合従軍編。函谷関の攻防と蕞の防衛戦

アニメは原作の話をそのまま順番に並べているわけではありません。巻の区切りとシリーズの区切りは完全には一致しないため、目安として捉えてください。

シリーズごとの原作範囲はアニメと原作の対応表にまとめています。

蕞の戦いに関するよくある質問

蕞の戦いは何巻何話ですか?

単行本30巻・第320話から33巻・第352話にかけてです。合従軍編の終盤にあたります。

蕞の読み方は何ですか?

「さい」です。咸陽の手前にある小城として描かれます。

なぜ王が自ら戦場に出たのですか?

蕞にまともな守備兵がいなかったためです。秦の兵力は函谷関に集中しており、内側まで手が回っていませんでした。

誰が蕞を守ったのですか?

老人や女性を含む一般の住民です。信ら少数の兵も加わりました。

蕞の戦いは何日間続いたのですか?

七日間です。援軍が到着するまでの時間を稼ぐ戦いでした。

李牧はなぜ撤退したのですか?

蕞が落ちる直前に楊端和率いる山の民が到着したためです。攻略は不可能と判断しました。

李牧の本当の狙いは何だったのですか?

蕞です。函谷関で秦の主力を釘付けにしておき、別動隊で山を越えて内側へ回り込みました。

蕞が落ちていたらどうなっていたのですか?

咸陽まで遮るものがない状態でした。首都が直接攻められる位置にあります。

蕞の戦いは史実にありますか?

ありません。合従軍そのものは紀元前241年に実在しますが、蕞の防衛戦にあたる記録は確認できません。

山の民はなぜ助けに来たのですか?

序盤の王都奪還編で結ばれた同盟によるものです。政が単身で山の民のもとへ赴き、交渉で成立させた関係でした。

まとめ

  • 蕞の戦いは単行本30巻・第320話から33巻・第352話。合従軍編の終盤
  • 李牧の本命は函谷関ではなく、内側にある蕞だった
  • 蕞に守備兵がおらず、政が自ら城へ入って住民に呼びかけた
  • 老人や女性を含む住民が七日間持ちこたえた
  • 楊端和率いる山の民の到着により、李牧が撤退を決断した
  • 史実に蕞の防衛戦の記録はないが、合従軍は紀元前241年に実在した

王が城壁に立ち、住民が武器を取る。この一戦を凌いだことで、秦は統一へ向かう時間を手にしました。序盤で山の民と結んだ同盟が、ここで効いてくる構成になっています。

この記事について

執筆・編集: マンガノシラベ編集部
公式コミックスおよび公開されている史料をもとに作成しています。内容に誤りを見つけられた場合はお問い合わせよりご連絡ください。