キングダムの山の民とは?山の王・楊端和と主要メンバー一覧・史実に実在しない理由
この記事には『キングダム』王都奪還編から趙攻略戦(単行本79巻)までの展開と、史実にもとづく解説が含まれます。連載の進行状況は2026年8月時点のものです。
『キングダム』で秦と手を組み、幾度も戦局を変えてきたのが山の民です。奇抜な仮面と装束をまとい、中華の外からやってくる集団として描かれています。
この記事では、山の民とはそもそも何者なのか、主要なメンバーは誰なのかを一覧で整理します。あわせて、秦との同盟がどのように結ばれたのか、そして山の民という集団が史実に実在したのかも確認しました。
結論
- 山の民は秦の西方の山岳地帯に暮らす人々です。単一の民族ではなく、複数の部族の集合体として描かれています。
- 王は楊端和(ようたんわ)です。「山界の死王」と呼ばれ、秦の新六大将軍にも名を連ねています。
- 秦との盟約は昭王の時代にさかのぼります。その途絶えた縁を、嬴政が王座を取り戻す戦いで結び直しました。
- 史料に「山の民」という集団の記録はありません。ただし秦が西方の異民族と関わってきたこと自体は事実で、『史記』秦本紀に似た構図の逸話が残っています。
山の民とは何か

| 呼称 | 山の民。彼ら自身は山界(さんかい)の民と呼ばれる |
|---|---|
| 居住地 | 秦の西方に広がる山岳地帯 |
| 構成 | 単一民族ではなく、複数の部族の集合体 |
| 王 | 楊端和。異名は「山界の死王」 |
| 特徴 | 部族ごとに異なる仮面と装束。中華とは異なる言語や文化を持つ |
| 秦との関係 | 昭王の時代に盟約。のちに途絶え、嬴政の代で結び直される |
| 史実 | 「山の民」という集団の記録はない |
山の民が中華の側から見て異質な存在として描かれているのは、姿だけの問題ではありません。中華の国々が城と国境で領土を区切るのに対し、山の民は山という地形そのものを生活圏にしています。国家という単位で動く中華の戦争に、別の論理を持つ集団が加わるという構図です。
山の民の主要メンバー一覧
| 名前 | 立場 | 特徴 | 初登場 |
|---|---|---|---|
| 楊端和(ようたんわ) | 山の民の王。秦の新六大将軍 | 「山界の死王」。山界の統一を進める | 単行本3巻 |
| バジオウ | 楊端和の右腕にあたる筆頭の将 | 双刀の使い手。常に仮面を着け、素顔は明かされていない | 単行本2巻・第16話 |
| タジフ | 楊端和の配下 | 怪力。組みついて相手の動きを封じる戦い方 | 王都奪還編 |
| シュンメン | 楊端和の配下 | 身軽さを生かした動きで敵を翻弄する | 王都奪還編 |
| ランカイ | もと成蟜の私兵。のちに山の民へ | 群を抜いた巨体と怪力。厚い皮膚は通常の剣を通しにくい | 単行本4巻・第38話 |
| ダント | フィゴ族の王 | 正面からの力押し。78巻・第856話で矢を受けて倒れる | 単行本48巻 |
| カタリ | メラ族の族長 | 剣技の使い手。52巻・第563話で戦死 | 橑陽の戦い |
| キタリ | メラ族の族長(カタリの妹) | 兄の死後に族長を継ぐ。53巻・第572話でブネンを討つ | 橑陽の戦い |
| ハダマ | 百眼族の族長 | 山界の「賢者」。楊端和の影の参謀 | 単行本79巻 |
| ウダマ | ハダマの娘 | 父とともに楊端和の戦略を支えてきた | 単行本79巻 |
バジオウ|滅びた部族の生き残り
バジオウは戦によって滅ぼされたバジ族の生き残りです。幼くして部族を失い、山中で人を襲って生き延びていました。発見された当時は言葉すらまともに話せない状態だったと語られています。
その状態から人間に戻していったのが楊端和です。楊端和との戦いに敗れ、そのまま一族に迎え入れられたことで、バジオウは山界最強の戦士へと育ちました。バジオウが楊端和に見せる忠誠は、上下関係というより、拾われた命を返すという性質のものです。
ランカイ|敵から味方になった巨体
ランカイはもともと王弟・成蟜が飼っていた巨漢で、化猿と呼ばれて虐げられていました。王都奪還編で信とバジオウ・タジフ・シュンメンの連携に敗れますが、命を取られることなく戦場を退きます。
その後、ランカイは山の民に引き取られました。成蟜のもとで痛めつけられ続けた立場から解放され、楊端和の軍の一員として迎えられています。合従軍編では蕞へ駆けつける援軍の中にその巨体が描かれました。
敵として現れた者を殺さずに迎え入れるという点で、ランカイの経緯はバジオウと重なります。山の民という集団の性格がよく出ている例です。
百眼族|表に出てこなかった参謀
山の民は武で押す集団として描かれてきましたが、79巻でその見方が変わります。
ここで明かされたのが、山界の「賢者」と呼ばれる百眼族の存在です。族長のハダマと、その娘ウダマ。この二人が長年にわたって楊端和の戦略と戦術を練ってきたと語られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部族 | 百眼族(ひゃくがんぞく) |
| ハダマ | 族長。山界の「賢者」と呼ばれる |
| ウダマ | ハダマの娘 |
| 役割 | 楊端和の影の参謀。戦略・戦術を担当 |
| 判明した巻 | 単行本79巻 |
楊端和が中華の将を相手に勝ち続けてきた理由は、これまで本人のカリスマと山の民の機動力で説明されてきました。しかし実際には、表に出ない参謀が別にいたことになります。
この設定が出てきたのは、山の民軍が苦しい状況に置かれた場面でした。楊端和とダントが矢に倒れ、指揮系統が欠けたところで、これまで隠れていた頭脳が前に出てきた形です。
79巻での山の民
79巻は紀元前229年の趙完全攻略戦にあたります。山の民にとっては厳しい巻です。
| できごと | 内容 |
|---|---|
| 楊端和とダントが倒れる | 中華十弓・青華雲の矢を受ける |
| 四隊が奮起する | バジオウ・タジフ・シュンメン・キタリがそれぞれ隊を率いて敵を圧倒する |
| 百眼族が明かされる | ハダマとウダマが影の参謀だったと判明する |
王を失いかけた状態で崩れなかった点が、この巻の山の民の描かれ方です。バジオウ・タジフ・シュンメン・キタリの四人がそれぞれ部隊を率いており、王都奪還編で個人として戦っていた頃とは立場が変わっています。
楊端和自身の状況は楊端和の記事、ダントについてはダントの記事で扱っています。
秦と山の民の同盟|昭王の盟約から嬴政へ
山の民が秦に味方するのは、単なる利害の一致ではありません。前の代からの経緯があります。
昭王の時代の盟約
秦と山の民のあいだには、昭王の時代に結ばれた盟約がありました。しかしその後、両者の関係は途絶えます。中華の側が山の民を裏切ったという経緯が、物語の前提として置かれています。
嬴政が結び直す
嬴政は王座を弟の成蟜に奪われ、王都から追われました。この劣勢を覆すために選んだのが、山の民との同盟です。
信たちとともに山界へ向かった嬴政は、殺されかねない状況のなかで楊端和と対面し、かつての盟約を持ち出して手を結ぶことを求めました。この同盟が成立したことで王都奪還が実現します。
以後、山の民は秦の主要な戦いに加わり続けます。趙国侵攻では欠かせない戦力になりました。
山の民が参加した主な戦い
| 戦い | 内容 |
|---|---|
| 王都奪還編 | 嬴政と同盟を結び、成蟜の反乱軍と戦う |
| 合従軍編・蕞 | 陥落寸前の蕞へ援軍として到着する。単行本32巻・第345話「開く城門」 |
| 鄴攻略戦 | 王翦・桓騎とともに趙を攻める三方面作戦の一角を担う |
| 橑陽の戦い | 犬戎王ロゾと激突する。山界統一をめぐる戦い |
とくに蕞の場面は、山の民という存在が物語の中でどう機能しているかがはっきり出た戦いです。中華の常識では間に合わないはずの援軍が、山を越えて現れました。
楊端和が進める山界の統一
山の民は一枚岩ではありません。楊端和は秦と戦うだけでなく、山界そのものを統一する事業を並行して進めています。
その過程で描かれたのが犬戎との戦いです。橑陽で犬戎王ロゾと激突し、楊端和自身も深手を負う場面がありました。バジオウもこの戦いで瀕死の重傷を負っています。第575話で死亡したと伝えられる場面がありましたが、これはシュンメンの冗談であり、同じ話の中で生存が確認されました。
中華の統一と山界の統一が並行して進んでいる構造は、この作品の中で見落とされやすい部分です。楊端和にとって秦との同盟は、自分の事業を進めるための手段でもあります。
史実では? 山の民は実在したのか
史料に「山の民」という集団の記録はありません。バジオウ、タジフ、シュンメン、ランカイについても同様で、いずれも作品オリジナルの人物です。
楊端和だけは実在する
ただし山の民の王である楊端和は実在します。『史記』秦始皇本紀に名前が残る秦の将軍です。
| 項目 | 『キングダム』 | 史実 |
|---|---|---|
| 性別 | 女性 | 男性 |
| 立場 | 山の民の王であり秦の大将軍 | 秦の将軍。山の民との関係は記録にない |
| 異名 | 山界の死王 | 異名の記録はない |
| 記録の範囲 | 本編で活躍が続く | 約9年間の記録のみ。生没年は不詳 |
史実の楊端和は、紀元前238年に魏の衍氏を攻め、紀元前236年の鄴攻めなどに参加した将軍として記録されています。山の民の王という設定は史実にありません。
『史記』に残る似た構図
山の民そのものの記録はなくても、秦が西方の異民族と関わってきたことは事実です。『史記』秦本紀には、秦の穆公と岐下の野人をめぐる逸話が残されています。
穆公の馬を食べてしまった野人たちを、穆公が罰せずに酒を与えて許したところ、のちに穆公が窮地に陥ったとき、その野人たちが駆けつけて穆公を救ったという話です。
中華の外にいる者たちと縁を結び、それが決定的な場面で効いてくる。『キングダム』の山の民に与えられた役割は、この逸話の構図と重なります。史実そのものではなく、史実に残る関係の型を借りた設定と読むのが妥当です。
漫画と史実の違い
| 項目 | 『キングダム』 | 史実 |
|---|---|---|
| 山の民という集団 | 山界に暮らす複数部族の集合体 | この名称の集団の記録はない |
| 秦との盟約 | 昭王の時代の盟約が物語の前提になる | 穆公と岐下の野人の逸話が『史記』秦本紀に残る |
| 楊端和 | 山の民を率いる女性の王 | 実在の秦の将軍。男性 |
| バジオウ・タジフ・シュンメン | 楊端和の配下として活躍 | 該当する記録はない |
| ランカイ | 成蟜の私兵から山の民へ | 該当する記録はない。秦に仕えた巨人・阮翁仲の伝説が後世に伝わる |
山の民に関するよくある質問
山の民とは何ですか?
秦の西方の山岳地帯に暮らす人々です。単一の民族ではなく、複数の部族の集合体として描かれています。彼ら自身は山界の民と呼びます。
山の民の王は誰ですか?
楊端和です。「山界の死王」と呼ばれ、秦の新六大将軍にも名を連ねています。
山の民の主要メンバーは誰ですか?
王の楊端和のほか、バジオウ・タジフ・シュンメン・ランカイがいます。部族の王としてはフィゴ族のダント、メラ族のカタリとキタリ、百眼族のハダマとウダマが登場します。
山の民はなぜ秦に味方するのですか?
昭王の時代に結ばれた盟約があったためです。その縁はいったん途絶えていましたが、嬴政が王座を取り戻す戦いのなかで結び直されました。
山の民が初めて登場するのは何巻ですか?
バジオウの初登場が単行本2巻・第16話、楊端和の初登場が単行本3巻です。集団として本格的に描かれるのは王都奪還編になります。
山の民は蕞の戦いに来ましたか?
来ています。単行本32巻・第345話「開く城門」で、陥落寸前の蕞へ援軍として到着する場面が描かれました。
バジオウは死亡しましたか?
していません。橑陽の戦いで瀕死の重傷を負い、第575話で死亡したと伝えられる場面がありましたが、これはシュンメンの冗談で、同じ話の中で生存が確認されています。
山の民は史実に実在しましたか?
「山の民」という集団の記録は史料にありません。ただし秦が西方の異民族と関わってきたこと自体は事実です。
楊端和は実在の人物ですか?
実在します。ただし史実の楊端和は男性の将軍で、山の民の王という設定は記録にありません。
山界の統一とは何ですか?
楊端和が進めている、山の民をひとつにまとめる事業です。犬戎との橑陽の戦いはその過程で描かれました。秦の中華統一と並行して進んでいます。
まとめ
- 山の民は秦の西方の山岳地帯に暮らす複数部族の集合体
- 王は楊端和。「山界の死王」と呼ばれ、秦の新六大将軍でもある
- 主要メンバーはバジオウ、タジフ、シュンメン、ランカイ
- 秦との盟約は昭王の時代にさかのぼり、嬴政の王都奪還戦で結び直された
- 「山の民」という集団の史実の記録はないが、楊端和は実在(男性の将軍)
- 『史記』秦本紀の穆公と岐下の野人の逸話が、似た構図として残っている
中華の外から来た者たちが、中華統一の決定的な場面に何度も現れる。山の民という設定は、記録に残らなかった辺境との関係を物語の側から描き直したものだと言えます。
この記事について
執筆・編集: マンガノシラベ編集部
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