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ネタバレ注意
この記事には『キングダム』本編の展開と、史実にもとづく解説が含まれます。連載の進行状況は2026年8月時点のものです。

『キングダム』の舞台は春秋戦国時代です。ただし正確には、その550年におよぶ長い時代の、最後の25年だけを描いています。

この記事では、春秋戦国時代とは何だったのかを整理します。春秋時代と戦国時代の違い、なぜ550年も戦い続けたのか、そして『キングダム』がどの位置にあるのかまで、作品を読むうえで必要な範囲でまとめました。

結論

  • 春秋戦国時代は紀元前770年から紀元前221年までです。およそ550年続きました。
  • 春秋時代と戦国時代の境目は紀元前403年ごろです。晋が韓・魏・趙に分裂した出来事が区切りになります。
  • 最大の違いは周王の権威です。春秋では建前として残り、戦国では諸侯が自ら王を名乗りました。
  • 『キングダム』は最後の25年を描いています。紀元前245年ごろから統一までです。

春秋戦国時代とは

古代中国の城壁のイメージ
550年におよぶ分裂の時代でした(画像はイメージです)
期間 紀元前770年から紀元前221年(約550年)
始まり 周が都を洛邑(成周)へ移した
終わり 秦による中華統一
別名 東周時代。周王室が東の成周にあったため
区分 春秋時代(前770〜前403年ごろ)と戦国時代(前403〜前221年)

この時代の始まりは、周という王朝の弱体化です。紀元前771年に犬戎の攻撃で幽王が殺され、翌年に都を東へ移しました。この遷都以降、周王は名目上の存在になり、各地の諸侯が実質的な支配者になっていきます。

ちなみに、この周を滅ぼした犬戎は『キングダム』にも登場します。橑陽の戦いで楊端和と戦った勢力です。550年前に周を追った集団の名が、物語の終盤近くで再び出てくる形になっています。

春秋時代と戦国時代の違い

同じ分裂の時代でも、前半と後半では性格がまったく違います。

項目 春秋時代 戦国時代
期間 前770年〜前403年ごろ 前403年〜前221年
周王の扱い 実権はないが精神的な中心として尊重 権威がほぼ消滅
諸侯の目標 覇者。周王に次ぐ地位を認められること 自ら王を名乗り、他国を滅ぼすこと
国の数 百を超える 七雄に集約
戦争の目的 秩序の中での主導権 領土の併合と国家の消滅

境目になった「三家分晋」

時代を分ける出来事が、晋という大国の分裂です。

晋は春秋時代の超大国でしたが、家臣であった韓・魏・趙の三家がこれを分割し、事実上滅ぼしてしまいます。そして紀元前403年、周王がこの三家を正式に諸侯として認めました。

家臣が主家を滅ぼし、それを王が追認する。この一件で、秩序という建前が完全に崩れました。以後、戦国七雄が互いを滅ぼし合う時代に入ります。

『キングダム』の韓・魏・趙が隣接しているのは、もともと同じ晋という国だったからです。三国の位置関係を見ると、晋という国の形が浮かび上がります。

戦国七雄とは

戦国時代に残った七つの大国です。

位置 備考
西 商鞅の変法で強国化。最終的に統一
中央 晋から分裂。最小で最初に滅ぶ
中央 晋から分裂。戦国初期の最強国
晋から分裂。騎馬戦術に長ける
最大の面積
北東 七雄では国力が低い部類
経済的に豊か。最後に降伏

韓・魏・趙が「三晋」と呼ばれるのは、この三国が晋から分かれたためです。

なぜ550年も戦い続けたのか

これだけ長く分裂が続いた理由は、統一する力を持つ国が現れなかったからです。

戦国初期に最強だったのは魏でした。次に斉が台頭し、その後は楚が大国として存在感を持ちます。秦が抜きん出るのは、商鞅の変法(紀元前4世紀)以降です。

時期 優勢だった国
戦国初期 魏。呉起らの改革で強国化
戦国中期 斉と秦が並び立つ
紀元前260年 長平の戦いで秦が趙を壊滅させ、優位が確定
戦国末期 秦の一強。他国は連合でしか対抗できない

『キングダム』が描いているのは、この最後の段階です。すでに秦の優位は動かず、他国は合従軍を組むことでしか対抗できなくなっていました。

諸子百家|思想が生まれた時代

この時代のもうひとつの特徴が、思想の爆発的な発展です。戦乱が続くなかで、どう国を治めるべきかを説く思想家が次々に現れました。

学派 代表的な人物 主張
儒家 孔子、孟子、荀子 徳と礼による統治
法家 商鞅、韓非、李斯 法と刑罰による統治
道家 老子、荘子 作為を排し自然に従う
墨家 墨子 兼愛と非攻。防衛戦の技術集団でもある
兵家 孫子、呉起 戦争の理論化

『キングダム』に登場する韓非と李斯は、いずれも法家に属し、荀子という同じ師のもとで学んだ間柄です。そして秦が採用したのが法家の思想でした。商鞅の変法から始まり、統一後の厳格な法制度に至るまで、秦は一貫して法家の国です。

70巻で信と韓非が性善説・性悪説を論じる場面は、この時代の思想史そのものを物語に取り込んだものといえます。

戦争の形が変わった時代

春秋と戦国では、戦争そのものの姿も変わりました。

春秋時代の戦いは、貴族が戦車に乗って戦う形式が中心でした。参加するのは限られた身分の者で、規模も日数も限定的です。秩序の中での主導権争いという性格が強く、相手国を滅ぼすことは目的になりませんでした。

項目 春秋時代 戦国時代
主力 貴族による戦車戦 徴兵された歩兵の大軍
規模 数千から数万 数十万規模もある
期間 短期決戦 数か月から年単位の長期戦
目的 主導権と面目 領土の併合と国家の消滅
兵の出自 身分の高い者 農民から徴兵

戦国時代になると、農民が徴兵されて数十万規模の軍が編成されるようになります。『キングダム』で信のような下僕出身の少年が武功で昇っていけるのは、この変化があったからです。春秋時代の戦争なら、そもそも信は戦場に立てません。

長平の戦いで趙が40万を超える兵を失ったという記録も、この規模の変化を示しています。戦争が国そのものを消滅させる段階に入っていました。

秦が勝てた理由

550年の分裂を終わらせたのが、なぜ秦だったのか。地理以外の要因も大きく関わっています。

最大の転換点は、紀元前4世紀の商鞅の変法です。爵位を血筋ではなく戦功で与える制度、連座による統制、農業の奨励など、国の仕組みそのものを作り替えました。この改革によって、秦は身分に縛られずに人材を登用し、戦功に報いる国になります。

他の六国が旧来の貴族制を残したのに対し、秦だけが制度を切り替えた。作中で信が下僕から将軍まで昇っていく物語は、この制度の産物です。史実の李信も、名門の出という記録はありません。

キングダムはどの位置にあるのか

出来事
紀元前770年 周が東遷。春秋時代が始まる
紀元前403年 三家分晋が公認され、戦国時代へ
紀元前356年ごろ 商鞅の変法。秦が強国化を始める
紀元前260年 長平の戦い。秦が趙を壊滅させる
紀元前245年ごろ 『キングダム』開始
紀元前221年 秦が統一。春秋戦国時代の終わり

550年のうち、作品が描いているのは末尾の25年ほどです。全体の5%に満たない期間に、これだけの物語が詰まっていることになります。

逆に言えば、王騎や廉頗が語る「昔」の話には、その手前の何百年分の歴史があります。旧六大将軍の時代も、長平の戦いも、作品の開始前に終わった出来事です。

春秋戦国時代に関するよくある質問

春秋戦国時代はいつからいつまでですか?

紀元前770年から紀元前221年までです。周の東遷から秦の統一まで、およそ550年続きました。

春秋時代と戦国時代の違いは何ですか?

周王の権威です。春秋時代は実権こそないものの精神的な中心として尊重されましたが、戦国時代には諸侯が自ら王を名乗り、権威はほぼ消滅しました。

時代の境目はいつですか?

紀元前403年ごろです。晋を分割した韓・魏・趙の三家を周王が正式に諸侯と認めた年が区切りとされます。

三家分晋とは何ですか?

春秋の大国だった晋を、家臣の韓・魏・趙の三家が分割して事実上滅ぼした出来事です。この三国は「三晋」と呼ばれます。

なぜ東周時代とも呼ばれるのですか?

周が都を東の成周(洛邑)へ移したあとも、名目上は王朝が存続していたためです。

戦国七雄はどこですか?

秦・韓・魏・趙・楚・燕・斉の七カ国です。このうち韓・魏・趙は晋から分裂した国です。

キングダムはどの部分を描いていますか?

春秋戦国時代の最後の25年ほど、紀元前245年ごろから統一までです。550年のうち5%に満たない期間にあたります。

諸子百家とは何ですか?

この時代に現れた思想家たちの総称です。儒家・法家・道家・墨家・兵家などがあり、秦は法家を採用しました。

周はいつ滅びたのですか?

紀元前256年、秦の昭襄王が周の赧王を降し、800年続いた周王朝の支配は終わりました。統一の35年前です。

犬戎はキングダムに出てきますか?

登場します。橑陽の戦いで楊端和と戦った勢力です。史実では紀元前771年に西周を滅ぼし、春秋戦国時代が始まるきっかけを作った異民族です。

まとめ

  • 春秋戦国時代は紀元前770年から紀元前221年までの約550年
  • 春秋と戦国の境目は紀元前403年ごろ。三家分晋が区切りになる
  • 春秋は周王を建前として立てる時代、戦国は諸侯が自ら王を名乗る時代
  • 韓・魏・趙は晋から分裂した「三晋」。隣接しているのはそのため
  • 『キングダム』が描くのは最後の25年で、全体の5%に満たない
  • 諸子百家が生まれた時代でもあり、秦が採用したのは法家の思想

550年続いた分裂を終わらせた戦いが、この作品の題材です。王騎や廉頗が語る「昔」の向こうに、さらに何百年もの積み重ねがある。そう思って読むと、統一という言葉の重さが変わってきます。

この記事について

執筆・編集: マンガノシラベ編集部
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