風の呼吸の全9型一覧まとめ!不死川実弥の技と派生した呼吸を史実つきで解説【鬼滅の刃】
この記事には『鬼滅の刃』最終巻(単行本23巻)までの戦闘描写と結末が含まれます。未読の方はご注意ください。
『鬼滅の刃』に登場する五つの基本の呼吸のひとつ、風の呼吸。使い手は風柱・不死川実弥です。派手さよりも痛さを優先したような技が並び、鬼にとっては極めて厄介な流派として描かれています。
この記事では風の呼吸の型を壱ノ型から玖ノ型まで一覧にまとめ、使い手と派生した呼吸を整理します。あわせて、戦国から江戸にかけて実在した剣術流派と比べたとき、風の呼吸のどこが創作なのかもはっきりさせます。
結論
- 風の呼吸には壱ノ型から玖ノ型まで9つの型があります。作中でそのすべてが描かれています。
- 使い手は風柱・不死川実弥です。最終決戦を生き延びた数少ない柱のひとりです。
- 風の呼吸からは霞の呼吸と獣の呼吸が派生しています。ただし獣の呼吸は伊之助が独学で編み出したものです。
風の呼吸とは

| 名称 | 風の呼吸(かぜのこきゅう) |
|---|---|
| 分類 | 基本の呼吸のひとつ |
| 派生元 | 日の呼吸 |
| 型の数 | 壱ノ型から玖ノ型までの9つ |
| 主な使い手 | 風柱・不死川実弥 |
| 派生した呼吸 | 霞の呼吸、獣の呼吸 |
| 特徴 | 斬撃が荒々しく、鬼に強い痛みを与える |
『鬼滅の刃』の呼吸は、始まりの呼吸である日の呼吸から、水・雷・炎・岩・風という五つの基本の呼吸に分かれます。風の呼吸はそのひとつです。
技名には旋風、砂塵嵐、木枯らし、台風といった風にまつわる言葉が並びます。ただし実際の動きは、風のような優雅さとは正反対です。地面を抉り、獣の爪痕のような斬撃を放ち、すれ違いざまに斬りつける。鬼が嫌がる痛みを与えることに特化した構成になっています。
風の呼吸の型一覧
風の呼吸の型は壱ノ型から玖ノ型までの9種類です。すべて作中で使用されています。
| 型 | 技名 | 読み | 内容 |
|---|---|---|---|
| 壱ノ型 | 塵旋風・削ぎ | じんせんぷう・そぎ | 地面を抉るような勢いで凄まじい衝撃を与える突撃技 |
| 弐ノ型 | 爪々・科戸風 | そうそう・しなとかぜ | 4つの斬撃を獣の爪痕のように同時に放つ |
| 参ノ型 | 晴嵐風樹 | せいらんふうじゅ | 使い手自身を中心として旋風が渦巻くように斬る |
| 肆ノ型 | 昇上砂塵嵐 | しょうじょうさじんらん | 低い姿勢から砂塵を巻き上げる嵐のように繰り出す |
| 伍ノ型 | 木枯らし颪 | こがらしおろし | 広範囲にわたって上空から突風を吹き下ろすように斬る |
| 陸ノ型 | 黒風烟嵐 | こくふうえんらん | 斜め下から体を捻じり、勢いを付けて斬り上げる |
| 漆ノ型 | 勁風・天狗風 | けいふう・てんぐかぜ | 竜巻のように空中で身体を捻じりながら放つ |
| 捌ノ型 | 初烈風斬り | しょれつかざきり | 烈風のごとく駆け寄り、すれ違いざまに斬りかかる |
| 玖ノ型 | 韋駄天台風 | いだてんたいふう | 台風のような太刀筋で頭上から斬りつける広範囲攻撃 |
どの型がどの戦いで使われたか
風の呼吸の型が集中的に描かれるのは、上弦の壱・黒死牟戦と鬼舞辻無惨戦です。
| 相手 | 使用された型 |
|---|---|
| 上弦の壱・黒死牟 | 壱ノ型、弐ノ型、参ノ型、肆ノ型、陸ノ型、漆ノ型、捌ノ型 |
| 鬼舞辻無惨 | 伍ノ型、漆ノ型、捌ノ型、玖ノ型 |
黒死牟戦は不死川実弥にとって、弟・不死川玄弥を失った戦いでもあります。ここで風の呼吸の型が次々に繰り出される場面は、技の解説としてだけでなく物語としても重い意味を持っています。
風の呼吸の使い手は誰?
風の呼吸の使い手として作中に登場するのは、風柱・不死川実弥です。
| 名前 | 不死川実弥(しなずがわ さねみ) |
|---|---|
| 階級 | 柱(風柱) |
| 年齢 | 21歳 |
| 誕生日 | 11月29日 |
| 身長・体重 | 179cm・75kg |
| 体質 | 稀血。しかも鬼を酔わせるほど希少な血を持つ |
| 弟 | 不死川玄弥 |
| 生死 | 生存。最終決戦を生き延びる |
稀血という切り札
実弥の特異な点は、稀血のなかでもさらに希少な血を持つことです。この血を鬼が浴びたり口にしたりすると酔ったような状態になり、動きが乱れます。
実弥はこれを自覚したうえで、自分の身体を傷つけて血を撒くという戦い方をします。技の切れ味だけでなく、自分自身を餌として使うという発想が加わることで、風の呼吸の荒々しさがさらに際立ちます。
最終決戦を生き延びた柱のひとり
鬼舞辻無惨との最終決戦を生き延びた柱は、水柱・冨岡義勇と風柱・不死川実弥の二人だけです。宇髄天元は決戦前に引退しているため、生存した柱経験者としては三人になります。
最終話には実弥の子孫も登場します。誰と結ばれたのかは明かされていませんが、弟の玄弥が最期に願った通りの行き先だったことは読み取れます。
風の呼吸から派生した呼吸
基本の呼吸からはそれぞれ派生の流派が生まれています。風の呼吸から派生したとされるのは次の二つです。
| 呼吸 | 使い手 | 特徴 |
|---|---|---|
| 霞の呼吸 | 霞柱・時透無一郎 | 高速移動で敵を翻弄する。使い手は日の呼吸の使い手の子孫 |
| 獣の呼吸 | 嘴平伊之助 | 性質が風の呼吸に近い。伊之助が師につかず独学で編み出した |
獣の呼吸は少し特殊です。伊之助は山で育ち、誰にも剣術を習っていません。それでも編み出した技が風の呼吸に近い性質を持っていたため、系統としてはこの位置に置かれています。技の名前も「〇ノ型」ではなく「〇ノ牙」と呼ぶ点が独自です。
黒死牟戦では、風の呼吸の実弥と霞の呼吸の時透無一郎が同じ戦場に立ちます。派生元と派生先が並んで上弦の壱に挑む構図になっており、呼吸の系統を知っていると読み方が変わる場面です。
史実では? 実在した剣術流派と「呼吸」
ここからが史実の話です。先に結論を書いておきます。「風の呼吸」という流派は実在しません。そもそも呼吸で身体能力を高めるという設定自体が創作です。
ただし、流派の名前や成り立ちという点では、実在の剣術と重なる部分があります。
陰流と愛洲移香斎
日本の剣術三大源流のひとつとされるのが陰流です。開いたのは愛洲久忠、通称・移香斎(いこうさい)です。
久忠は伊勢国の愛洲氏の一族で、享徳元年(1452年)に生まれました。35歳にあたる長享元年、日向国で修行と祈祷を行い、霊験によって極意を授かったと伝えられています。天文7年(1538年)に87歳で没しました。
陰流の成立時期については資料によって記述に幅があり、断定はできません。ただし久忠が実在の人物であり、後世の流派に大きな影響を与えたことは確かです。
新陰流と天真正伝香取神道流
陰流を基に新陰流を開いたのが上泉信綱です。信綱はおおよそ1508年から1577年の人物とされます。新陰流の基本技である「燕飛」は、陰流の「猿飛」が源流であると伝えられています。
もうひとつの源流が、飯篠長威斎が開いた天真正伝香取神道流です。長威斎は上泉信綱が生まれる20年ほど前に没したと伝えられており、より古い時代の流派にあたります。
| 流派 | 開祖 | 時代 |
|---|---|---|
| 天真正伝香取神道流 | 飯篠長威斎 | 室町時代。上泉信綱の生誕より前 |
| 陰流 | 愛洲久忠(移香斎) | 久忠は1452年生まれ、1538年没 |
| 新陰流 | 上泉信綱 | およそ1508年から1577年 |
陰流の目録は元禄年間に松下見林の『異称日本伝』で紹介され、1790年の『撃剣叢談』でも言及されています。文献に残る形で伝わってきた流派です。
「呼吸」は実在の武術にもあるが別物
実在の武術にも呼吸法は存在します。ただしそれは、力を入れる瞬間と息を吐く瞬間を合わせる、あるいは緊張を抜くための技術であって、身体能力そのものを跳ね上げるものではありません。
作中の全集中の呼吸は、体温を上げ、筋力と反射速度を人間離れした水準まで高めるという設定です。これは実在の呼吸法とは根本的に別のものであり、完全な創作です。
流派が師から弟子へ伝わり、そこから新しい流派が分かれていくという構造は史実に近い一方、伝わっている中身は史実とまったく異なる。この二層構造が『鬼滅の刃』の剣術描写の作り方だといえます。
漫画と史実の違い
| 項目 | 『鬼滅の刃』 | 史実 |
|---|---|---|
| 風の呼吸 | 基本の呼吸のひとつ。9つの型がある | 該当する流派は実在しない |
| 呼吸で強くなる | 体温や筋力が人間離れした水準まで上がる | 実在の呼吸法は力の入れ方や緊張を整える技術 |
| 流派の派生 | 日の呼吸から基本の呼吸、さらに派生流派へ分かれる | 陰流から新陰流が生まれるなど、分派の構造は史実にもある |
| 柱という制度 | 鬼殺隊の最高位の剣士9名 | 該当する制度は存在しない |
| 剣術の時代 | 大正時代に剣術で戦う | 大正期の帯刀は廃止済み。剣道は競技として存続 |
なぜ風の呼吸はこう描かれたのか
風の呼吸の型を並べると、ひとつの傾向が見えてきます。斬るというより、削る、抉る、引き裂くという動きが多いのです。
技名も同じです。塵旋風、砂塵嵐、木枯らし、黒風烟嵐。どれも澄んだ風ではなく、砂や埃を巻き上げる荒れた風を指しています。実弥という人物の気性がそのまま流派の性格になっている形です。
そして実弥は稀血を自分から撒いて戦います。自分を傷つけて相手を崩すという戦い方は、風の呼吸の荒々しさと矛盾しません。技も体質も戦法も、すべてが同じ方向を向いています。
その一方で、この流派から派生した霞の呼吸は正反対の性質を持ちます。高速で移動し、相手を翻弄する。同じ源から生まれた技が別の形になるという、実在の剣術流派でも起きてきたことが作中でもなぞられています。
風の呼吸に関するよくある質問
風の呼吸の型はいくつありますか?
壱ノ型から玖ノ型までの9つです。作中でそのすべてが使用されています。
風の呼吸の使い手は誰ですか?
風柱・不死川実弥です。作中で風の呼吸を使う人物として描かれているのは実弥です。
風の呼吸の玖ノ型は何ですか?
韋駄天台風(いだてんたいふう)です。台風のような太刀筋で頭上から斬りつける広範囲攻撃で、鬼舞辻無惨との戦いで使われました。
風の呼吸から派生した呼吸は何ですか?
霞の呼吸と獣の呼吸です。霞の呼吸は霞柱・時透無一郎、獣の呼吸は嘴平伊之助が使います。
獣の呼吸は風の呼吸の派生ですか?
性質が風の呼吸に近いため、その系統に位置づけられています。ただし伊之助は師につかず、山での生活のなかで独学で編み出しました。
風の呼吸は何から派生したのですか?
日の呼吸です。日の呼吸から水・雷・炎・岩・風という五つの基本の呼吸が分かれ、風の呼吸はそのひとつにあたります。
不死川実弥は死亡しますか?
死亡しません。鬼舞辻無惨との最終決戦を生き延びた柱は、水柱・冨岡義勇と風柱・不死川実弥の二人です。
不死川実弥の稀血とは何ですか?
稀血のなかでもさらに希少な血で、鬼が触れると酔ったような状態になります。実弥は自分の身体を傷つけて血を撒く戦い方をします。
風の呼吸は史実に実在しますか?
実在しません。呼吸で身体能力を高めるという設定自体が創作です。ただし陰流や新陰流など、流派が分派していく構造は史実にもあります。
実在する剣術の源流には何がありますか?
愛洲久忠が開いた陰流、飯篠長威斎が開いた天真正伝香取神道流などが三大源流に数えられます。陰流を基に上泉信綱が新陰流を開きました。
まとめ
- 風の呼吸には壱ノ型から玖ノ型までの9つの型があり、すべて作中で描かれている
- 使い手は風柱・不死川実弥で、最終決戦を生き延びた柱のひとり
- 技名は荒れた風にちなむものが多く、鬼に痛みを与えることに特化している
- 風の呼吸からは霞の呼吸と獣の呼吸が派生している
- 「風の呼吸」という流派は実在しないが、陰流から新陰流が生まれるという分派の構造は史実にもある
技の名前だけを追うと自然現象の羅列に見えますが、並べてみるとどれも荒れた風です。流派の性格が使い手の気性とここまで一致している呼吸は、他にあまりありません。
この記事について
執筆・編集: マンガノシラベ編集部
公式コミックスおよび公開されている史料をもとに作成しています。内容に誤りを見つけられた場合はお問い合わせよりご連絡ください。
