万極(まんごく)の死亡は27巻288話|信が討った最期と長平で生き埋めにされた過去【キングダム】
この記事には『キングダム』合従軍編(単行本27巻前後)の展開と、史実にもとづく記述が含まれます。
『キングダム』合従軍編で、秦への憎悪だけを燃料に戦い続ける趙の将軍・万極(まんごく)。「死ね」という言葉を繰り返しながら軍を動かすその姿は、作中でも異質です。
この記事では、万極が何巻何話で死亡するのか、誰に討たれたのかを確認します。そして「キングダム 万極 生き埋め」という検索の正体である長平の戦いを、史実の側から詳しく追います。紀元前260年に起きたこの戦いは実際に記録が残っており、万極という人物の動機はそこに直結しています。ここがこの記事の中心です。
結論
- 万極は死亡します。単行本27巻・第288話で、信との一騎討ちに敗れて討ち取られます。
- 万極は長平の生き残りです。父と兄とともに生き埋めにされ、自力で地中から這い出て生き延びたという過去を持ちます。
- 長平の戦いは史実です。紀元前260年、秦の白起が降伏した趙兵を穴に埋めたと『史記』に記されています。ただし人数と方法には近年の発掘による疑問が出ています。
万極のプロフィール

| 名前 | 万極(まんごく) |
|---|---|
| 所属 | 趙国 |
| 立場 | 趙の将軍。合従軍に参加 |
| 過去 | 長平の戦いで父と兄とともに生き埋めにされ、ひとり生還した |
| 動機 | 秦への復讐。それ以外の目的を持たない |
| 話し方 | 言葉が詰まるような特徴的な話し方をする |
| 死亡 | 単行本27巻・第288話。信に討たれる |
万極は、合従軍編に登場する趙の将軍のひとりです。戦略的な巧みさで知られる李牧や、義を重んじる紀彗といった同陣営の人物と比べると、万極の行動原理はきわめて単純です。秦を殺す。それだけです。
この単純さが恐ろしいのは、そこに一切の妥協や交渉の余地がないためです。作中の万極は残忍な戦い方をし、秦兵に対して情けを見せません。しかしその態度が生まれた原因は、彼自身が受けた仕打ちにありました。
万極の死亡は何巻何話?
万極が死亡するのは単行本27巻・第288話です。合従軍編の戦いのなか、信との一騎討ちに敗れて討ち取られます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 麃公軍が激戦で消耗したところへ、万極軍が攻めかかる |
| 対決 | 飛信隊の信が万極の前に立ちはだかる |
| 信の言葉 | 「お前みたいにはなってねぇ」と語りかけるが、万極は憎しみを手放さない |
| 結末 | 激しい一騎討ちの末、信の一撃で万極が討ち取られる |
| 最期の表情 | 恨みに囚われていたとは思えないほど安らかな顔で息を引き取る |
この場面が印象に残るのは、討ち取る側の信が、相手を単なる敵として処理していないためです。信は万極を倒す直前、長平のようなことを二度と起こさせないという趣旨の誓いを口にします。
万極が最後に見せる穏やかな表情は、その言葉に対する応答として描かれています。憎しみを晴らせたからではなく、憎しみを持ち続ける必要がなくなったから、という順序です。
信にとっての意味
万極との一戦は、信にとって単なる勝利ではありませんでした。これまで信が倒してきた敵は、立場の違いで戦う相手でした。しかし万極は、秦がかつて行った行為の結果として生まれた相手です。
秦の大将軍を目指す信が、秦のやったことの後始末に直面する。この構図が、信を戦場の兵から歴史の当事者へと引き上げます。合従軍編が作品の転換点とされる理由のひとつがここにあります。
史実では? 長平の戦いと生き埋め
ここからが本題です。万極の背景にある長平の戦いは、創作ではありません。『史記』に記録の残る実際の戦いです。
長平の戦いの経緯
長平の戦いは、紀元前262年から紀元前260年にかけて、秦と趙が長平で激突した戦いです。長平は現在の中国山西省高平市の付近にあたります。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 紀元前262年 | 秦と趙が長平で対峙を始める |
| 紀元前260年 | 秦の王齕が趙軍を攻めるが、趙の名将・廉頗が塁壁を高くして守りに徹し、挑発に応じない |
| 同年 | 秦が趙に間者を送り、「秦は趙括を恐れている」という噂を流す |
| 同年 | 趙の孝成王がこれを信じ、廉頗を退けて趙括を主将に据える |
| 同年 | 趙括が攻勢に出たところを秦が包囲。趙軍は補給を断たれる |
| 同年9月 | 趙軍の飢餓は46日に及び、兵が互いを殺して食べるほどの状況になる |
| 同年 | 趙括が突破を試みて戦死。残った趙軍が白起に降伏する |
| 同年 | 白起が降伏兵を欺いて穴に埋めたと『史記』は記す。年少の240人だけが趙へ返された |
秦側の総大将だった白起は、のちに武安君と呼ばれる人物です。趙側の敗因は、守りに徹していた廉頗を交代させたことにありました。秦が流した噂に趙王が乗ってしまったということです。
「40万が生き埋め」という記述
『史記』には、降伏した趙軍40万余が白起によって坑殺されたと記されています。坑殺とは穴に埋めることを指します。年少の240人だけが趙へ送り返され、その他は生き埋めにされたという記述です。
万極が「長平の生き残り」であるという設定は、この記述に直結しています。父と兄とともに埋められ、自力で地中から這い出たという過去は、史実の記述に沿って組み立てられたものです。
1995年の発掘が示したこと
ここは他の解説記事があまり触れない部分です。「40万が生き埋め」という記述には、現代の考古学から疑問が出されています。
1995年、山西省高平市永録村の果樹園で遺骨の埋葬坑が発見されました。「永録1号尸骨坑」として報告されたものです。その調査結果は次のとおりです。
| 項目 | 発掘の結果 |
|---|---|
| 確認された遺骨 | 約130体。40万という数字には遠く及ばない |
| 遺骨の状態 | 半数が頭骨のみ、あるいは頭と胴体が離れた状態だった |
| 外傷 | 14の頭骨に鈍器や刀器による創傷があり、少なくとも7つは致命傷だった |
| 研究者の見解 | 多くは殺されたあとで坑に入れられたと考えるほうが自然 |
つまり、「生きたまま埋められた」という通説よりも、「処刑されたあとで埋葬された」という解釈のほうが、出土した遺骨の状態には合うということです。
また40万という数字そのものにも疑問があります。当時の趙国の総人口は170万から220万程度、投入できた兵力は最大でも20万程度だったと推定されており、40万は後世の誇張である可能性が指摘されています。
ただし、大量の趙兵が長平で殺され、まとめて埋められたという事実そのものは否定されていません。規模と方法に幅があるというだけで、惨劇が起きたこと自体は遺骨が裏づけています。
白起のその後
長平で趙を壊滅させた白起自身も、穏やかな最期を迎えていません。紀元前257年、邯鄲攻めの失敗をめぐって昭襄王と対立し、最下級の兵に降格されて流刑を言い渡されます。
咸陽の西門を出て十里の杜郵まで来たところで、王は使者を送り、白起に剣を与えて自殺を命じました。長平で数十万を葬った将軍が、自国の王の命令で死ぬという結末です。
漫画と史実の違い
| 項目 | 『キングダム』 | 史実 |
|---|---|---|
| 万極という人物 | 趙の将軍として合従軍に参加 | 該当する人物の記録はない。作品独自の人物 |
| 長平の戦い | 作中で語られる過去の惨劇 | 紀元前262年から260年に実際に起きた戦い |
| 生き埋めの人数 | 作中では大量の趙兵が埋められたとされる | 『史記』は40万余と記すが、発掘では約130体。誇張の可能性が指摘される |
| 埋め方 | 生きたまま埋められた描写 | 遺骨の外傷から、殺害後に埋葬されたとする見方が有力 |
| 白起 | 作中で名前が語られる過去の存在 | 実在。紀元前257年に昭襄王の命で自害 |
| 万極の最期 | 27巻・第288話で信に討たれる | 該当する記録なし |
なぜ万極はこのように描かれたのか
万極は、作品にとって都合の悪い事実を運んでくる人物です。
『キングダム』は秦の側から語られる物語であり、読者は信たちの勝利を望みながら読み進めます。しかしその秦は、長平で数十万の降伏兵を葬った国でもあります。この事実を無視したまま中華統一を美談として描くことは、作品の誠実さを損ないます。
万極という人物は、その事実を戦場に持ち込むために置かれています。彼が繰り返す「死ね」という言葉は、単なる殺意ではなく、埋められた人間たちの声を代弁するものとして機能しています。
そして重要なのは、信が万極を否定しない点です。信は万極の憎しみを間違いだと切り捨てるのではなく、二度と同じことを起こさせないという方向で応じました。過去を消すのではなく、繰り返さないという答え方です。
万極が最後に穏やかな顔をするのは、その答えが届いたからだと読めます。復讐の対象だったはずの秦の兵が、自分と同じ側に立って未来の話をした。この一点だけで、彼は憎しみを手放せたということです。
アニメでは第何シリーズか
この場面は、アニメでは第3シリーズにあたります。
| 単行本 | 27巻 |
|---|---|
| アニメ | 第3シリーズ |
| そのシリーズの内容 | 合従軍編。函谷関の攻防と蕞の防衛戦 |
アニメは原作の話をそのまま順番に並べているわけではありません。巻の区切りとシリーズの区切りは完全には一致しないため、目安として捉えてください。
シリーズごとの原作範囲はアニメと原作の対応表にまとめています。
万極に関するよくある質問
万極は死亡しますか?
死亡します。単行本27巻・第288話で、信との一騎討ちに敗れて討ち取られます。
万極を倒したのは誰ですか?
飛信隊の信です。麃公軍が消耗したところへ万極軍が攻めかかった場面で、信が万極の前に立ちはだかりました。
万極の生き埋めとは何ですか?
長平の戦いで、降伏した趙兵が秦によって穴に埋められた出来事を指します。万極は父と兄とともに埋められ、自力で地中から這い出て生き延びたという過去を持ちます。
長平の戦いは実際にあったのですか?
あります。紀元前262年から紀元前260年にかけて、秦と趙が長平で激突した戦いです。長平は現在の中国山西省高平市の付近にあたります。
本当に40万人が生き埋めにされたのですか?
『史記』にはそう記されていますが、疑問が出ています。1995年に発見された遺骨坑では約130体しか確認されておらず、当時の趙の人口から見ても40万は誇張の可能性が指摘されています。
生き埋めではなく殺されたあとに埋められたのですか?
その見方が有力です。発掘された頭骨には鈍器や刀器による創傷が確認されており、殺害後に坑へ入れられたと考えるほうが自然だと研究者は判断しています。
長平で趙が負けた原因は何ですか?
守りに徹していた廉頗を交代させたことです。秦が「趙括を恐れている」という噂を流し、それを信じた孝成王が主将を趙括に替えた結果、趙軍は包囲されて壊滅しました。
白起とはどんな人物ですか?
長平で趙軍を破った秦の将軍です。武安君と呼ばれました。紀元前257年、邯鄲攻めをめぐって昭襄王と対立し、杜郵で自害を命じられています。
万極は実在の人物ですか?
実在の記録は確認できません。作品独自の人物と考えられます。ただし彼の背景である長平の戦いは史実です。
万極の最期はなぜ穏やかなのですか?
信が長平のようなことを二度と起こさせないと誓ったためです。万極はそれを聞き、恨みに囚われていたとは思えない表情で息を引き取ります。
まとめ
- 万極は単行本27巻・第288話で信に討たれて死亡する
- 万極は長平の戦いで父と兄とともに埋められ、ひとり生還した人物として描かれる
- 長平の戦いは紀元前262年から260年の史実で、『史記』は40万余の坑殺を記す
- 1995年の発掘では約130体が確認され、殺害後の埋葬という見方が有力になっている
- 秦の白起自身も紀元前257年に昭襄王の命で自害している
信が万極を倒す場面は、敵を討つ話ではなく、秦が過去にやったことに主人公が向き合う話です。長平の記録と、そこから出た遺骨。それを知ったうえで読み返すと、万極が繰り返す言葉の重さが変わります。
この記事について
執筆・編集: マンガノシラベ編集部
公式コミックスおよび公開されている史料をもとに作成しています。内容に誤りを見つけられた場合はお問い合わせよりご連絡ください。
