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ネタバレ注意
この記事には『ONE PIECE』本編の展開と、単行本109巻までの重大なネタバレが含まれます。連載の進行状況は2026年8月時点のものです。

シャボンディ諸島で麦わらの一味を一人ずつ消し去った男、バーソロミュー・くま。元王下七武海であり、同時に革命軍の幹部でもあった人物です。あの場面で「くまはなぜ一味を飛ばしたのか」と感じた読者は多いはずです。

この記事では、くまが一味を飛ばしたのが何巻何話かを確認したうえで、その理由として作中ではっきり示されていることと、まだ明示されていないことを分けて整理します。ニキュニキュの実の能力、パシフィスタ化に至った経緯、娘ボニーとの関係、そして現在の状況までまとめました。

結論

  • くまが麦わらの一味を飛ばしたのは第513話、単行本53巻です。黄猿と戦桃丸に追い詰められた一味を、ニキュニキュの実の能力で各地へ弾き飛ばしました。
  • 助けるための行動だったことは第603話(61巻)で確定しています。くまは自我を失う前にベガパンクと約束を交わし、一味が戻る日までサニー号を守り続けていました。
  • くまは死亡していません。自我を失った状態ですが、エッグヘッドを脱出したあとボニーとともにサニー号に乗り、エルバフへ向かっています。

バーソロミュー・くまのプロフィール

海と帆船のイメージ
くまは麦わらの一味を海の彼方へ弾き飛ばしました(画像はイメージです)
名前 バーソロミュー・くま
異名 暴君(タイラント)
肩書き 元王下七武海、元革命軍幹部、元ソルベ王国の国王
能力 ニキュニキュの実(肉球人間)
血筋 バッカニア族の血を引く
ジュエリー・ボニー(血縁上の実子ではない)
初登場 第233話
現在 自我を失った状態。ボニーとともに行動中

くまは王下七武海という政府側の肩書きを持ちながら、実際には政府と敵対する革命軍の幹部でもありました。二つの立場を同時に抱えていたことが、その行動を読みにくくしています。

くまが麦わらの一味を飛ばしたのは何巻何話?

単行本53巻、第513話「救えないっ!!!」です。シャボンディ諸島で海軍大将・黄猿と、当時の海軍科学部隊隊長・戦桃丸に追い詰められた麦わらの一味の前にくまが現れ、一人ずつ弾き飛ばしていきました。

読者から見れば、それは一味の壊滅そのものでした。ルフィは全員が消えていくのを止められず、最後に自分も飛ばされます。この一件で麦わらの一味は2年間ばらばらになりました。

飛ばされた先

メンバー 飛ばされた場所
モンキー・D・ルフィ 女ヶ島アマゾン・リリー
ロロノア・ゾロ クライガナ島
ナミ 空島ウェザリア
ウソップ ボーイン列島
サンジ カマバッカ王国
トニートニー・チョッパー トリノ王国
ニコ・ロビン テキーラウルフ
フランキー カラクリ島(未来国バルジモア)
ブルック ハラヘッターニャ

結果として、それぞれの行き先が2年間の修行の場になりました。ゾロがミホークのもとに、サンジがカマバッカ王国に、フランキーがベガパンクの資料が残る故郷に着いたことについては、意味を読み取る声が多くあります。ただしくまが一人ずつの行き先を能力別に選んだと作中で説明されたわけではありません。ここは断定を避けるべきところです。

くまが麦わらの一味を飛ばした理由

作中で確定していること

あの行動が助けるためのものだったことは、2年後にはっきりします。単行本61巻・第603話で、シャボンディ諸島に戻った一味は、サウザンド・サニー号が無傷で残されていたことを知ります。くまが2年間、たった一人で船を守り続けていたのです。

くまは自我を失う前にベガパンクとの間で約束を交わし、「麦わらの一味の誰かが戻る日まで海賊船を死守する」という任務を自分にプログラムさせていました。敵ならばこの手間をかける理由がありません。シャボンディでの行動が保護のためだったことは、この一点で確定します。

背景として、くまは革命軍の幹部でした。革命軍の総司令官はモンキー・D・ドラゴン、ルフィの父です。くまがドラゴンの側にいた人物である以上、ルフィを死なせない動機があったことは自然に読めます。

まだ明示されていないこと

一方で、次の点は作中で説明されていません。推測で埋めないほうがよい部分です。

論点 状況
ドラゴンから直接の指示があったのか 作中で明言されていない
行き先を一人ずつ選んだのか 選定の基準は語られていない
2年という期間を意図していたのか 明確な説明はない

確実なのは、くまが自我を失う直前の限られた時間の中で、麦わらの一味を政府の手から遠ざけ、船を守る手配まで済ませていたということです。

ニキュニキュの実の能力

くまが食べたのはニキュニキュの実。両手の肉球で、触れたものを弾き飛ばす能力です。

使い方 内容
人や物を弾く 触れた相手を高速で吹き飛ばす。麦わらの一味を各地へ飛ばしたのがこれ
空気を弾く 圧縮した空気の塊を放ち、衝撃波として使う
痛みや疲労を弾く 体から痛みや疲れを取り出して外に出す。取り出した痛みを他人に与えることもできる

「弾く」という一語で説明できる能力でありながら、応用の幅が非常に広いのが特徴です。人を殺さずに戦場から退場させられる点は、シャボンディでの行動と直結しています。

パシフィスタ化の経緯とボニーとの関係

ボニーは血のつながった娘ではない

くまとボニーの関係は、単行本108巻・第1098話「ボニー誕生」などで描かれました。ボニーはくまの実子ではなく、くまの幼なじみであるジニーの子です。ジニーは天竜人に妻とするために連れ去られ、その後ボニーを抱えて戻ってきました。くまは親代わりとしてボニーを育てています。

青玉鱗という病

ボニーは母から受け継いだ「青玉鱗」という病に侵されていました。くまは治療法を探して世界を回り、やがてベガパンクの名にたどり着きます。

そしてボニーの治療と引き換えに、くま自身が政府の実験体になることを受け入れました。人体改造が進められ、最終的には自我そのものを消して兵器のプログラムに置き換えることまで含まれます。パシフィスタと呼ばれる人間兵器の原型は、こうして作られました。

ここで重要なのは、くまが力ずくで改造されたのではなく、娘を救うための条件として自分から差し出したという点です。形の上では合意ですが、断れば娘が死ぬ状況での合意でした。

ベガパンクが仕込んだもの

改造を担当したベガパンクは、政府に知られない形でいくつかの細工を残しています。麦わらの一味の船を守る任務をプログラムに組み込んだこと、そして取り付けられた自爆装置を停止装置に変えたことです。くまが2年間サニー号のそばに立ち続けられたのは、この仕込みがあったからでした。

くまの現在の状況

2026年8月時点で、くまは死亡していません。自我を失った状態ではありますが、エッグヘッドでの一件のあと、ボニーとともにサウザンド・サニー号に乗り、エルバフへ渡っています。

作中ではベガパンクの人格の一つから、くまについて死んだと決まったわけではないという趣旨の発言も出ています。人格が戻る可能性は完全には否定されていません。ただし回復が確定したという描写はまだなく、断定はできません。

なお、くまが所属していた王下七武海という制度そのものは、すでに撤廃されています。

史実では? 人を「物」として扱った制度の歴史

くまの物語の核にあるのは、人間が人間の所有物にされること、そして体を差し出す以外に選択肢がなくなることです。これは実在の歴史がたどってきた問題そのものでもあります。

奴隷制度が廃止されるまで

出来事
1807年 イギリスで奴隷貿易廃止法が成立。ただし奴隷制度そのものは残った
1833年 イギリスで奴隷廃止法が成立し、大英帝国内の奴隷制が廃止される
1865年 アメリカ合衆国憲法修正第13条により奴隷制が廃止される
1888年5月13日 ブラジルで黄金法が公布され奴隷制が廃止。主要国では最後の廃止となった
1926年9月25日 ジュネーブで奴隷条約が署名される。翌1927年3月9日に発効
1948年 世界人権宣言が採択される。第4条で奴隷制度と奴隷売買を全面的に禁止
1957年 奴隷制度廃止補足条約が発効。債務奴隷や意思に反する婚姻も禁止対象に

注目したいのは1957年の補足条約です。ここで禁止対象に加えられたのは、鎖で縛る形の奴隷だけではありません。借金のかたに人が働かされる債務奴隷や、本人の意思に反した婚姻の制度も含まれています。形式の上では本人が同意していても、逃げ場のない状況での同意は自由な合意とみなさない。国際法はそう整理してきました。ジニーが天竜人の妻として連れ去られ、くまが娘の命を条件に自分の体を差し出した経緯は、この禁止対象と正面から重なります。

人体実験と「同意」をめぐる歴史

人体を実験に使うことについても、同じ流れがあります。

出来事
1932年から1972年 アメリカで行われたタスキギー梅毒研究。治療法が確立された後も被験者に治療が行われなかった
1947年 ニュルンベルク綱領が策定される。被験者の自由意思にもとづく十分な説明を受けた同意が必要と定められた
1964年 世界医師会がヘルシンキ宣言を採択。インフォームド・コンセントという用語が広まる

ニュルンベルク綱領が求めたのは、単なる同意ではなく「自由意思にもとづく、十分な説明を受けたうえでの同意」でした。断れば大切な人が死ぬという条件のもとで交わされた合意は、ここでいう自由意思にあたりません。くまとベガパンクの取り決めは、まさにこの線の外側にあります。

漫画と史実の違い

項目 『ONE PIECE』 史実
人身の売買 天竜人による人間の所有が公然と行われている 1807年から段階的に禁止され、1948年の世界人権宣言で全面禁止
追い詰められた同意 くまが娘の治療と引き換えに実験体になる 1957年の補足条約で債務奴隷などの制度が禁止対象になった
人体実験 本人と政府の取り決めで進められる 1947年のニュルンベルク綱領で自由意思にもとづく同意が必須とされた
人格の消去 自我をプログラムに置き換える改造が行われる 実在の技術には該当するものがない
回復の可能性 否定されておらず、今後の展開に委ねられている 失われた権利の回復は補償や名誉回復という形で行われてきた

なぜくまはこのように描かれたのか

くまの立ち位置は最初から一貫していません。政府の王下七武海でありながら革命軍の幹部であり、一味を壊滅させたように見えて実際には逃がしていました。読者が最後まで判断を保留させられる人物です。

その理由は、くまがどちら側につくかを自分で選べる状態になかったからでしょう。娘の命を握られ、体と記憶を差し出す以外に道がない。その中で残された数少ない自由が、麦わらの一味を飛ばすことと、船を守る約束を残すことだったわけです。

奪われたあとに何が残るのかという問いは、天竜人と奴隷という『ONE PIECE』の根幹に関わるテーマにつながっています。史実で奴隷制度や人体実験をめぐる規範が整えられてきたのも、同じ問いに対する答えを人類が探し続けた結果でした。くまという人物は、その問いを一人の父親の姿に落とし込んだ存在だと言えます。

バーソロミュー・くまに関するよくある質問

くまが麦わらの一味を飛ばしたのは何巻何話ですか?

単行本53巻、第513話です。シャボンディ諸島で黄猿と戦桃丸に追い詰められた一味を、ニキュニキュの実の能力で一人ずつ各地へ弾き飛ばしました。

くまが一味を飛ばした理由は何ですか?

助けるためです。第603話で、くまが自我を失う前にベガパンクと約束し、一味が戻る日までサニー号を守る任務を自分にプログラムさせていたことが明かされました。保護のための行動だったことは確定しています。

飛ばす先はくまが選んだのですか?

選定の基準は作中で説明されていません。結果として各地が2年間の修行の場になりましたが、能力に合わせて行き先を決めたと明言された描写はないため、断定はできません。

ニキュニキュの実はどんな能力ですか?

肉球人間の能力です。触れたものを弾き飛ばすほか、空気を弾いて衝撃波にしたり、体から痛みや疲労を取り出したりできます。

ボニーはくまの実の娘ですか?

血のつながりはありません。ボニーはくまの幼なじみジニーの子で、くまは親代わりとして育ててきました。この経緯は単行本108巻の第1098話などで描かれています。

くまはなぜパシフィスタになったのですか?

ボニーの病である青玉鱗の治療と引き換えに、自ら政府の実験体になることを受け入れたためです。強制ではなく合意の形をとっていますが、断れば娘が死ぬ状況での合意でした。

くまは死亡しましたか?

していません。2026年8月時点で自我を失った状態ではありますが、エッグヘッドを離れたあとボニーとともにサニー号に乗り、エルバフへ向かっています。

くまの自我は戻りますか?

作中で回復が確定した描写はありません。ベガパンクの人格の一つから、死んだと決まったわけではないという趣旨の発言があり、可能性は否定されていない段階です。

くまは何者だったのですか?

元ソルベ王国の国王であり、元王下七武海であり、同時に革命軍の幹部でもありました。バッカニア族の血を引く人物としても描かれています。

くまはドラゴンの命令で動いていたのですか?

直接の指示があったかどうかは作中で明言されていません。革命軍の幹部としてドラゴンの側にいた人物であることは確かですが、命令の有無については断定できません。

まとめ

  • くまが麦わらの一味を飛ばしたのは単行本53巻・第513話
  • 助けるための行動だったことは61巻・第603話で確定している
  • くまは自我を失う前にベガパンクと約束し、2年間サニー号を守り続けた
  • パシフィスタ化は、娘ボニーの青玉鱗の治療と引き換えに自ら受け入れたもの
  • 2026年8月時点でくまは死亡しておらず、ボニーとともにエルバフへ渡っている

飛ばした理由を一言でいえば、残された自由をすべて使って一味を生かしたということです。史実の奴隷制度や人体実験の規範が「追い詰められた同意は同意ではない」という地点にたどり着いたことを知ると、くまが差し出したものの重さも違って見えてきます。

続きは単行本で

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この記事について

執筆・編集: マンガノシラベ編集部
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