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ネタバレ注意
この記事には『キングダム』の設定に関する記述と、史実にもとづく解説が含まれます。連載の進行状況は2026年8月時点のものです。

『キングダム』の趙旧三大天は、廉頗・藺相如・趙奢(ちょうしゃ)の3人です。このうち廉頗は作中に登場して信たちと戦いましたが、残る2人は名前が語られるだけで姿を見せません。

この記事では、趙奢が作中でどう扱われているのかを整理したうえで、史実の趙奢がどのような将軍だったのかを確認します。秦が長らく手を出せなかった閼与(あつよ)での勝利と、その息子が趙を壊滅させた長平の戦いまで、この人物の周辺には重い話が集まっています。

結論

  • 趙奢は作中に登場しません。旧三大天のひとりとして名前が語られるのみです。
  • 史実の趙奢は実在します。紀元前269年、閼与の戦いで秦軍を破りました。
  • 秦に勝った数少ない将軍です。この功績で馬服君に封じられました。
  • 息子が長平で趙を壊滅させた趙括です。父の名声が息子の起用につながりました。

趙奢のプロフィール

山の稜線と峠道のイメージ
閼与は山地の要衝として争われました(画像はイメージです)
名前 趙奢(ちょうしゃ)
所属 趙国
作中での扱い 旧三大天のひとりとして名前が語られる
史実の功績 紀元前269年、閼与の戦いで秦軍を破る
封号 馬服君(ばふくくん)
上卿。廉頗・藺相如と同格
趙括(ちょうかつ)
史実 実在

もともと趙奢は税を取り立てる役人だったと伝えられます。将軍としての経歴から始まった人物ではありません。

キングダムでの趙奢

作中で趙奢は、旧三大天のひとりとして名前が挙がります。ただし本編に登場する場面はありません。

区分 顔ぶれ 作中の扱い
旧三大天 廉頗・藺相如・趙奢 廉頗のみ登場。他2人は名前のみ
新三大天 李牧・龐煖・司馬尚 全員が本編に登場

先に整理しておくと、「趙三大天」という呼称は『キングダム』独自の設定です。秦の「六大将軍」も同様で、史実にこの区分は存在しません。ただし数えられている6人はいずれも実在の人物です。

史実の趙奢|閼与の戦い

趙奢の名を残したのは、たった一度の戦いです。

「無理だ」と誰もが答えた出兵

紀元前269年、秦の将軍・胡傷が趙の閼与を包囲しました。閼与は山地の奥にあり、救援に向かうには険しい道を長く進む必要があります。

趙の恵文王が廉頗に救援は可能かと問うと、道が遠く険しいため難しいという答えが返りました。他の将も同様です。そのなかで趙奢だけが、救援は可能だと答えました。

狭い道での戦いは、二匹の鼠が穴の中で争うようなもので、勇敢なほうが勝つ。趙奢はそう述べたと伝えられます。

28日間動かなかった

将に任じられた趙奢の行動は、言葉とは逆でした。

段階 内容
1 邯鄲を出て30里の地点で行軍を止め、陣を固める
2 そのまま28日間動かず、さらに防御を厚くする
3 秦側は「趙軍は邯鄲を守るためのものだ」と判断し、警戒を解く
4 秦の間者を意図的に泳がせ、その情報を持ち帰らせる
5 間者が去った直後、全軍で強行軍に移り一気に閼与へ迫る
6 配下の許歴の進言で北山を先に占領する
7 高所を取った趙軍が秦軍を破る

動かないことで相手の判断を誤らせ、警戒が解けた瞬間に動く。勇敢なほうが勝つと言った将軍が、実際にやったのは徹底した情報操作でした。

秦に勝つということ

この戦いの価値は、相手が秦だったという一点にあります。当時の秦はすでに他国を圧倒しつつあり、正面から破れる国はほとんどありませんでした。

趙奢は凱旋して上卿となり、廉頗・藺相如と同格の位を与えられます。そして恵文王から馬服君の称号を受けました。

息子・趙括と長平の戦い

趙奢の話には、重い続きがあります。

馬服君の称号を受けたため、その子である趙括は「馬服子」と呼ばれるようになりました。父の名声を背負った立場です。

父が息子を評価しなかった

趙括は兵法に通じ、議論では父の趙奢すら言い負かしたと伝えられます。それでも趙奢は、息子を将にすべきではないと語っていました。

戦争は生死のかかったことなのに、趙括はそれを軽々しく語る。趙が趙括を将にすれば、趙軍を破滅させるのは趙括だろう。父の評価はこういうものでした。

長平の戦い

紀元前260年、その懸念が現実になります。

段階 内容
1 秦が趙へ侵攻。趙は廉頗を将として持久策を取る
2 秦の宰相・范雎が「秦は趙括を恐れている」という偽情報を流す
3 趙王が廉頗を退け、趙括を大将に据える
4 秦は白起を将に切り替え、趙軍を包囲する
5 趙軍が壊滅。40万を超える兵が失われたと記録される

この起用に反対したのが、病床にあった藺相如です。趙括は父の兵法書を読んだだけで実戦を知らないという趣旨の諫言をしましたが、容れられませんでした。

父が秦に勝ったことで得た名声が、息子を戦場に立たせ、趙を壊滅させる。趙奢の物語は、この皮肉な結末まで含めて語られます。

紙上談兵という言葉

趙括の故事から生まれたのが「紙上談兵」という言葉です。机上の空論、実践を伴わない議論という意味で使われます。

ただし公平に見れば、趙括は40万の軍を率いて白起という当代最強の将と戦った人物です。包囲されてなお組織的な突破を試み、最後は自ら先頭に立って戦死しています。無能の一言で片づけられる人物かどうかは、議論のあるところです。

税吏から将軍へ|趙奢の出発点

趙奢が異色なのは、武将としての経歴から始まった人物ではないという点です。

もとは田租を取り立てる役人だったと伝えられます。その職務のなかで、有力者である平原君の屋敷が税を納めようとしなかったことがありました。趙奢は法に従い、屋敷の担当者を処罰します。

怒った平原君に対して趙奢が説いたのは、国の法を守らなければ国そのものが弱くなり、国が弱くなれば平原君の地位も失われる、という理屈でした。平原君はこれを認め、逆に趙奢を王に推挙します。

法を曲げなかったことで登用されるという経緯は、のちの秦の法家的な統治とも通じるものがあります。趙奢が閼与で見せた冷静な情報操作も、この役人としての資質の延長線上にあると読めます。

作中に趙奢が出てこない理由

『キングダム』は紀元前245年ごろから始まります。趙奢の閼与での勝利は紀元前269年であり、24年も前の出来事です。

出来事
紀元前269年 閼与の戦い。趙奢が秦を破る
紀元前260年 長平の戦い。趙括が趙軍を壊滅させる
紀元前251年 秦の昭襄王が死去
紀元前245年ごろ 『キングダム』開始

作中で廉頗が「昔」を語るとき、そこには趙奢や藺相如がいた時代が含まれています。旧三大天が並び立っていたのは、物語が始まる前に終わった時代です。

そして長平の敗北から作中の現在まで、趙は一度も立ち直っていません。李牧という例外がいなければ、とうに秦に飲み込まれていた国です。趙奢の息子が招いた40万の損失は、それほど長く尾を引いています。

漫画と史実の違い

項目 『キングダム』 史実
趙奢 旧三大天のひとりとして名前のみ 実在。閼与の戦いで秦を破る
三大天という称号 趙の最高位の将軍3人 そのような制度は存在しない
胡傷 秦の旧六大将軍のひとり 実在。閼与で趙奢に敗れた記録がある
趙括 作中に登場しない 長平の戦いで趙軍を壊滅させ戦死
閼与の戦い 作中では描かれない 紀元前269年。趙が秦に勝った数少ない戦い

興味深いのは、趙奢が破った胡傷が秦の旧六大将軍に数えられている点です。作中の設定で言えば、旧三大天が旧六大将軍を破った戦いということになります。

趙奢に関するよくある質問

趙奢はキングダムに登場しますか?

本編には登場しません。旧三大天のひとりとして名前が語られるのみです。

趙奢の読み方は何ですか?

「ちょうしゃ」と読みます。

趙奢は史実に実在しましたか?

実在します。紀元前269年の閼与の戦いで秦軍を破り、馬服君に封じられました。

閼与の戦いとは何ですか?

紀元前269年、秦の胡傷が趙の閼与を包囲した戦いです。趙奢が救援に向かい、28日間動かずに秦の警戒を解いてから急襲し、北山を占領して勝利しました。

趙奢はどれくらいすごいのですか?

当時すでに他国を圧倒していた秦を正面から破った、数少ない将軍のひとりです。この功績で廉頗・藺相如と同格の上卿になりました。

馬服君とは何ですか?

閼与の勝利によって恵文王から与えられた称号です。この称号のため、息子の趙括は「馬服子」と呼ばれました。

趙括とは誰ですか?

趙奢の子です。長平の戦いで趙軍の大将となり、白起に包囲されて壊滅しました。40万を超える兵が失われたと記録されています。

趙奢は息子をどう評価していたのですか?

将にすべきではないと語っていました。戦争を軽々しく語る態度を問題視し、趙括を将にすれば趙軍を破滅させるだろうと述べたと伝えられます。

紙上談兵とはどういう意味ですか?

趙括の故事から生まれた言葉で、机上の空論という意味です。ただし趙括が単なる無能だったかについては議論があります。

旧三大天は誰ですか?

廉頗・藺相如・趙奢の3人です。作中に登場するのは廉頗だけで、藺相如と趙奢は名前のみとなっています。

まとめ

  • 趙奢は『キングダム』本編に登場せず、旧三大天のひとりとして名前が語られる
  • 史実では紀元前269年、閼与の戦いで秦の胡傷を破った実在の将軍
  • 28日間動かず秦の警戒を解いてから急襲するという情報戦で勝った
  • この功績で上卿となり、馬服君の称号を受けた
  • 息子の趙括は長平の戦いで趙軍を壊滅させ、父の懸念が現実になった
  • 趙奢が破った胡傷は、作中の設定では秦の旧六大将軍にあたる

秦に勝った将軍として名を残し、その名声が息子を戦場へ押し上げ、国を傾ける。趙奢という人物の記録は、勝利がいつも良い結果だけを残すわけではないことを示しています。旧三大天の最後の1人には、そういう物語がついています。

この記事について

執筆・編集: マンガノシラベ編集部
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