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ネタバレ注意
この記事には『キングダム』馬陽の戦い(11巻から17巻)の結末に関する記述が含まれます。未読の方はご注意ください。

『キングダム』で最初に大きな喪失が描かれたのが、馬陽(ばよう)の戦いです。王騎将軍の最期であり、同時に飛信隊が誕生した戦いでもあります。

この記事では、馬陽の戦いが何巻何話から何話までなのか、誰が死んで何が始まったのかを整理します。この一戦は、以後の物語のほとんどの要素がここから始まったといえるほど重要な戦役です。

結論

  • 収録は単行本11巻・第110話から16巻・第173話です。約6巻分の戦役です。
  • 王騎が戦死します。16巻・第172話「継承」で息を引き取りました。
  • 飛信隊が誕生した戦いです。王騎が信の百人隊に名を与えました。
  • 戦い全体が李牧の策でした。龐煖が単独で王騎を上回ったわけではありません。

馬陽の戦いとは

霧に包まれた古代の城壁のイメージ
馬陽は秦と趙の国境地帯の城として描かれます(画像はイメージです)
収録 単行本11巻・第110話から16巻・第173話
秦軍 総大将は王騎。騰、干央、飛信隊など
趙軍 総大将は龐煖。趙荘、馮忌。背後に李牧
史実の年 紀元前244年ごろ
結果 秦軍は撤退。王騎を失う

趙軍の侵攻に対し、第一線を退いていた王騎が総大将として復帰したことから始まります。序盤で圧倒的な存在として描かれてきた王騎が、初めて本格的に戦場へ出る戦いでした。

戦いの流れ

段階 内容 巻・話
開戦 趙軍が侵攻。王騎が総大将として出陣する 11巻・第110話ごろ
飛信隊誕生 王騎が信の百人隊を「飛信隊」と命名し、特命を出す 12巻
馮忌の死 飛信隊が趙の智将・馮忌を討ち取る 12巻・第129話「飛矢」
尾到の死 重傷の身で信を背負って離脱し、力尽きる 14巻・第148話
摎の回想 王騎と摎の過去、摎の最期が語られる 16巻・第165話「強さの根源」
王騎の死 龐煖との一騎打ちの末、致命傷を負い息を引き取る 16巻・第172話「継承」
決着 秦軍の撤退 16巻・第173話まで

王騎の死|龐煖に負けたわけではない

この戦いで最も誤解されやすいのが、王騎の死の経緯です。

王騎は龐煖と一騎打ちをしますが、その最中に趙将・魏加の放った矢を背に受けています。中華十弓に数えられる弓の名手による狙撃でした。この矢で隙が生まれ、そこへ龐煖の矛が届いたという順序です。

さらに、王騎が孤立する状況そのものを作ったのが李牧でした。戦場に姿を見せていなかった趙の三大天が、盤面の外から全体を設計していたことが終盤で明かされます。

要素 内容
李牧の策 王騎を孤立させる状況を作る
魏加の矢 一騎打ちの最中に王騎を射る
龐煖の矛 生まれた隙を突いて致命傷を与える

つまり王騎は、個人の武で敗れたのではありません。三段構えの策に嵌められた形です。この構造が、李牧という敵の質を読者に初めて示しました。

飛信隊の誕生

失われたものが大きい一方で、この戦いから始まったものも多くあります。

王騎は信の百人隊を本陣に呼び、特殊百人隊として「飛信隊」の名を与えました。そして2万を率いる趙の智将・馮忌の首を取るという特命を出します。

百人で2万の大将を討つという無茶な命令でしたが、飛信隊はこれを成功させました。第129話のタイトル「飛矢」は、王騎が飛信隊を一本の矢として放ったことを指しています。

以後、飛信隊は千人隊、五千人隊、そして六万規模の軍へと拡大していきます。その起点がこの戦いです。

信が受け継いだもの

王騎は最期に、自分の矛を信に託しました。常人には扱えない重さの矛で、信は当初まともに振ることすらできませんでした。

第172話のタイトルが「継承」であるのは、物としての矛と、大将軍という目標の両方が同時に渡されたためです。

受け継いだもの 内容
王騎の武器。以後、信の得物になる
飛信隊の名 王騎が命名。数万規模になっても変わらない
大将軍の景色 大将軍だけが見られるという景色。信の目標そのもの

信が今も背負っているものの多くが、16巻で退場したこの人物に由来しています。

摎という伏線

馬陽の戦いには、もうひとつ重い要素があります。王騎がなぜこの戦場に立ったのかという理由です。

王騎には摎という想い人がいました。旧六大将軍でただひとりの女性で、城を100個取ったら妻にするという約束を交わしていた人物です。

その摎は、100個目の城となる馬陽で龐煖に討たれています。つまり王騎にとって馬陽は、想い人を奪われた場所でした。回想として16巻・第165話「強さの根源」で描かれます。

私的な感情を戦場に持ち込まない人物に見えて、実際には最も個人的な理由で戦場に戻ってきた将軍だった。この構造が、王騎の死をより重いものにしています。

この戦いから始まったもの

馬陽の戦いが物語の起点と呼ばれるのは、以後に続く要素のほとんどがここで生まれたからです。

始まったもの その後
飛信隊 百人から六万規模の軍へ拡大していく
信と李牧の因縁 合従軍、鄴、宜安、番吾と続く長い対決になる
信と龐煖の因縁 58巻・第627話で信が龐煖を討つまで続く
王騎の矛 信の得物として今も使われている
大将軍の景色 信が昇り続ける理由そのものになる
河了貂の軍師志望 この戦いの経験から軍師学校へ進む

とくに李牧との因縁は決定的です。この戦いで王騎を失った信にとって、李牧は倒すべき相手として最初に刻まれました。鄴攻略戦でも、宜安でも、番吾でも、その関係は続いています。

秦にとっての損失

馬陽の敗北は、秦という国にとっても大きな損失でした。

王騎は昭王時代の六大将軍の生き残りであり、秦軍の象徴的な存在です。その死によって、秦は旧世代の大将軍をほぼ失いました。以後しばらく、秦軍は蒙驁・王翦・桓騎といった次の世代が支えることになります。

一方で、この空白が信・王賁・蒙恬という若い世代が台頭する余地を生みました。鄴攻略戦で三人が同時に将軍へ昇格するのは、馬陽から十数年後のことです。

一人の大将軍の死が、次の世代を押し上げる。作品が繰り返し描く構造の最初の例が、この戦いでした。

史実では? 馬陽の戦いは記録にない

馬陽の戦いという名前の会戦は、史実の記録にありません。王騎のモデルとされる王齮の没年は紀元前244年で作中と一致しますが、『史記』には死因も戦いの内容も記されていません。

項目 『キングダム』 史実
馬陽の戦い 11巻から16巻の戦役 この名の戦いは記録に残っていない
王騎 龐煖に討たれる 王齮の没年は紀元前244年。死因は不明
龐煖 武神を名乗る趙三大天 実在。ただし記録上は思想家・縦横家に近い
李牧 盤面の外から王騎を嵌める 実在。趙の名将として記録が豊富
馮忌・趙荘 趙軍の実務を担う将 該当する記録はない

史実が記すのは将軍の名前と没年だけです。どう死んだかは書かれていません。馬陽の戦いは、その空白に置かれた物語ということになります。

馬陽の戦いの日数と規模

この戦いは、飛信隊が生まれた戦役として知られます。

項目 内容
巻話 11巻110話から16巻173話
秦の総大将 王騎
趙の設計者 李牧
秦が失った将 王騎

約60話にわたる長さで、当時としては最大規模の戦役でした。ここで王騎が退場したことが、その後の秦軍の形を決めています。

信にとっても、五千人将から先へ進む起点になりました。失った側と得た側が同じ戦場にある構成です。

馬陽の戦いに関するよくある質問

馬陽の戦いは何巻何話ですか?

単行本11巻・第110話ごろから16巻・第173話までです。約6巻分にわたります。

王騎が死亡するのは何巻何話ですか?

単行本16巻・第172話「継承」です。アニメでは第38話に相当します。

王騎は龐煖に負けたのですか?

単純にそうとは言えません。一騎打ちの最中に魏加の矢を受けて隙が生まれ、そこへ龐煖の矛が届きました。さらに王騎が孤立する状況を作ったのは李牧です。

飛信隊はいつ誕生したのですか?

この戦いのさなか、単行本12巻で王騎が信の百人隊に「飛信隊」の名を与えました。

馮忌が死亡するのは何巻何話ですか?

単行本12巻・第129話「飛矢」です。飛信隊が王騎の特命を受けて討ち取りました。

尾到はいつ死亡しますか?

単行本14巻・第148話です。重傷の身で信を背負って戦場を離脱し、力尽きました。

摎の最期はどこで描かれますか?

単行本16巻・第165話「強さの根源」です。馬陽の戦いのさなか、王騎の回想として語られます。

馬陽の戦いの結果はどうなりましたか?

秦軍の撤退です。総大将の王騎を失い、目的を達することはできませんでした。

馬陽の戦いは史実にありますか?

この名前の戦いは記録に残っていません。ただし王騎のモデルとされる王齮の没年は紀元前244年で、作中の時期と一致します。

この戦いで信は何を得たのですか?

王騎の矛、飛信隊という名、そして大将軍という目標です。信が今も背負っているものの多くがこの戦いに由来します。

まとめ

  • 馬陽の戦いは単行本11巻・第110話から16巻・第173話
  • 王騎は16巻・第172話「継承」で戦死。アニメでは第38話
  • 王騎の死は一騎打ちの敗北ではなく、李牧の策と魏加の矢による三段構え
  • 飛信隊はこの戦いで誕生し、12巻129話で馮忌を討ち取った
  • 尾到は14巻148話、摎の回想は16巻165話で描かれる
  • 史実にこの戦いの記録はないが、王齮の没年は紀元前244年で一致する

失ったものと始まったものが、同じ戦場に置かれています。王騎の退場と飛信隊の誕生が一つの戦役で描かれたことが、この作品の以後の20年を決めました。

この記事について

執筆・編集: マンガノシラベ編集部
公式コミックスおよび公開されている史料をもとに作成しています。内容に誤りを見つけられた場合はお問い合わせよりご連絡ください。