二瓶鉄造の死亡は4巻29話|エゾオオカミに殺されたマタギと絶滅の史実【ゴールデンカムイ】
この記事には『ゴールデンカムイ』4巻の結末に関する記述が含まれます。未読の方はご注意ください。
『ゴールデンカムイ』序盤で強烈な印象を残すのが、二瓶鉄造(にへい てつぞう)です。
ヒグマを狩り続けたマタギでありながら、この人物を殺したのは狼でした。しかもその狼は、当時すでに絶滅していたはずの動物です。この記事では、二瓶の最期と、その背後にある史実を整理します。
結論
- 二瓶鉄造は死亡します。単行本4巻・第29話「老人と山」です。
- 死因はエゾオオカミに首を噛まれたことでした。ヒグマではありません。
- エゾオオカミは1896年から1903年ごろに絶滅したとされます。作中の年代にはすでにいない動物です。
- 職業はマタギで、刺青囚人のひとりでもありました。
二瓶鉄造とはどんな人物か

| 読み方 | にへい てつぞう |
|---|---|
| 職業 | マタギ。ヒグマ狩りを生業とする |
| 立場 | 刺青囚人のひとり |
| 年齢 | 老年。それでも山では衰えていない |
| 結末 | 4巻・第29話で死亡 |
二瓶は年老いたマタギです。山に入れば誰よりも強く、ヒグマを相手にしても引きません。
刺青囚人のひとりとして登場しますが、金塊への関心は薄い人物でした。興味があるのは、強い獣と向き合うことだけです。
マタギという存在
マタギは、東北・北海道の伝統的な狩猟者を指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生業 | 山に入り、獣を狩って暮らす |
| 知識 | 地形、天候、獣の習性を熟知している |
| 作中の人物 | 二瓶鉄造、谷垣源次郎 |
この作品では、マタギがヒグマに対抗できる数少ない存在として描かれます。軍人が銃を持っていても勝てない相手に、山を知る人間だけが向き合えます。
これは史実にも沿った描き方です。1915年の三毛別羆事件を終息させたのも、軍や警察ではなく地元の猟師でした。
4巻・第29話の最期
二瓶の最期は、意外な相手によるものです。
ヒグマではなく、エゾオオカミに首を噛まれて死亡します。単行本4巻・第29話「老人と山」の場面です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 巻・話 | 4巻・第29話「老人と山」 |
| 相手 | エゾオオカミ |
| 死因 | 首を噛まれる |
ヒグマ狩りの名人が、狼に倒されました。専門としてきた相手ではないもので終わるという皮肉があります。
ただし二瓶にとって、これは敗北ではありませんでした。強い獣と向き合うことが望みだった人物にとって、望んだ形の終わりです。
エゾオオカミという相手
ここに大きな仕掛けがあります。
エゾオオカミは、作中の年代にはすでに絶滅していたとされる動物です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生息地 | 北海道 |
| 絶滅時期 | 1896年(明治29年)から1903年(明治36年)ごろとされる |
| 最後の記録 | 1896年に函館の毛皮商が扱った毛皮が知られる |
| 作中の舞台 | 1907年前後 |
作中の時代には、本来この動物はいません。つまり作品に登場するエゾオオカミは、生き残った最後の個体という位置づけになります。
この設定は偶然ではありません。絶滅したはずの獣が山に残っているという状況が、二瓶の最期に意味を与えています。
エゾオオカミ絶滅の史実
エゾオオカミが絶滅した経緯は、明確に記録されています。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1877年(明治10年) | 開拓使が駆除の奨励金を出しはじめる |
| 1879年(明治12年) | ストリキニーネによる毒殺が始まる。同年、大雪でエゾシカが大量死 |
| 1888年(明治21年) | 奨励金の制度が廃止される |
| 1896年〜1903年ごろ | 絶滅したとされる |
きっかけは、開拓による環境の変化でした。餌となるエゾシカが減り、狼が馬を襲うようになったためです。
奨励金の期間に公式記録として残る駆除数は1,539頭、記録に残らないものを含めると2,000頭から3,000頭と推定されています。組織的な駆除によって、一つの種が消えました。
アイヌにとって狼は、ヒグマと同じくカムイのひとつです。その存在が、開拓の過程で駆除の対象へ変わりました。
レタラという白い狼
作中には、レタラと呼ばれる白い狼が登場します。
アシリパと行動をともにする個体で、単なる猛獣としては描かれません。絶滅した種の生き残りという位置づけが、この存在に重さを与えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種 | エゾオオカミ |
| 関係 | アシリパと行動をともにする |
| 意味 | 失われつつあるものの象徴として描かれる |
アイヌの文化も、エゾオオカミも、同じ時代に削られていきました。この作品が両方を並べて描くのは、そのためです。
谷垣源次郎との関係
二瓶と同じくマタギ出身の人物が、谷垣源次郎です。
| 人物 | 立場 |
|---|---|
| 二瓶鉄造 | マタギ。刺青囚人のひとり |
| 谷垣源次郎 | マタギ出身。のちに第七師団の兵となる |
二瓶は谷垣に、山の人間としての在り方を突きつけます。軍人になった谷垣が、自分の根を思い出すきっかけになりました。
登場期間は長くありませんが、この人物が谷垣に残したものは大きいものです。4巻で退場しながら、以後の谷垣の行動に影響し続けます。
アイヌにとっての狼
アイヌにおいて、狼は神のひとつとして扱われました。
ヒグマがキムンカムイ(山の神)と呼ばれるように、狼にもカムイとしての位置づけがあります。恐れる対象であると同時に、敬う対象でもありました。
| 存在 | アイヌでの扱い |
|---|---|
| ヒグマ | キムンカムイ。山の神 |
| 狼 | カムイのひとつとして敬われた |
| 共通点 | 恵みも死ももたらす存在として捉えられる |
ここでの神は、崇めるだけの対象ではありません。害獣として駆除するという発想とは、根本的に違う考え方です。
その狼が、開拓の過程で奨励金の対象になりました。神とされていたものが、賞金付きの標的へ変わったということです。
この作品がアイヌ文化とエゾオオカミを並べて描くのは、両方が同じ時代に削られたからです。失われ方の構造が同じでした。
序盤に置かれた理由
二瓶が退場するのは4巻です。物語としてはごく序盤にあたります。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| ヒグマの脅威を示す | マタギでなければ立ち向かえないと分からせる |
| 山の知識を提示する | この作品が何を丁寧に描くかを示す |
| 谷垣に影響を残す | 以後の谷垣の行動を決める |
| 絶滅した獣を出す | 時代が何を失いつつあるかを示す |
短い登場でこれだけの役割を果たしています。作品の方向性を読者に理解させるための人物でもありました。
そして「刺青囚人は単なる悪人ではない」という前提も、この時点で提示されます。以後に登場する囚人たちの描かれ方が、ここで決まりました。
山で死ぬということ
二瓶の最期には、この人物なりの筋が通っています。
老いたマタギが、山で獣に倒される。畳の上で死ぬことを望まなかった人間にとって、それは望みどおりの終わり方でした。
| 人物 | 望んだ終わり方 |
|---|---|
| 二瓶鉄造 | 山で強い獣と向き合って終わる |
| 土方歳三 | 戦いのなかで決着をつける |
| 牛山辰馬 | 特に望みはなく、結果として誰かを守って終わる |
この作品では、望んだ形で終われる人物がごくわずかです。二瓶はその数少ない例にあたります。
金塊にも独立にも興味を持たなかったからこそ、そうなりました。他人の物語に巻き込まれなかった人間の結末です。
マタギという生業
二瓶が属していたマタギは、実在する狩猟者の集団です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地域 | 東北から北海道にかけて |
| 対象 | 熊や鹿などの大型獣 |
| 特徴 | 独自の作法と言葉を持つ |
| 時期 | 冬の狩りを中心とする |
マタギは山に入る際、独自の言葉を使いました。里の言葉を持ち込まないという決まりがあったとされます。
二瓶の描かれ方には、この職能集団の性質が反映されています。獲物と一対一で向き合う姿勢が、その根にあります。
二瓶鉄造に関するよくある質問
二瓶鉄造は死亡しますか?
死亡します。単行本4巻・第29話「老人と山」です。
二瓶の死因は何ですか?
エゾオオカミに首を噛まれたことです。専門としていたヒグマではありません。
マタギとは何ですか?
東北・北海道の伝統的な狩猟者です。地形や天候、獣の習性を熟知し、山で暮らしを立てています。
エゾオオカミは実在した動物ですか?
実在しました。北海道に生息していましたが、1896年から1903年ごろに絶滅したとされます。
なぜエゾオオカミは絶滅したのですか?
開拓により餌のエゾシカが減り、狼が馬を襲うようになったためです。1877年から開拓使が駆除の奨励金を出し、毒殺も行われました。
どれくらいの数が駆除されたのですか?
奨励金の期間の公式記録で1,539頭、記録に残らないものを含めると2,000頭から3,000頭と推定されています。
作中の年代にエゾオオカミはいるのですか?
本来はいません。作中の舞台は1907年前後で、絶滅したとされる時期のあとです。作品に登場する個体は、生き残った最後の存在という位置づけになります。
レタラとは何ですか?
作中に登場する白い狼です。アシリパと行動をともにし、失われつつあるものの象徴として描かれます。
二瓶は金塊を狙っていたのですか?
関心は薄い人物でした。刺青囚人のひとりではありますが、興味があるのは強い獣と向き合うことだけです。
谷垣源次郎との関係は何ですか?
同じマタギ出身です。二瓶は谷垣に山の人間としての在り方を突きつけ、以後の谷垣の行動に影響を残しました。
まとめ
- 二瓶鉄造は4巻・第29話「老人と山」で死亡する
- 死因はエゾオオカミに首を噛まれたこと。ヒグマではない
- 職業はマタギで、ヒグマ狩りを生業としていた
- エゾオオカミは1896年から1903年ごろに絶滅したとされる実在の動物
- 1877年から開拓使が駆除の奨励金を出し、公式記録で1,539頭が駆除された
- 作中の年代にはすでに絶滅しており、登場する個体は最後の生き残りにあたる
- 同じマタギ出身の谷垣源次郎に、大きな影響を残した
絶滅したはずの獣に、山の名人が倒される。史実を知ってから読むと、この場面の意味がまったく変わります。
この記事について
執筆・編集: マンガノシラベ編集部
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